3:視線の正体
『おはようございます、焦凍さん』
「…あぁ」
今日も名前はめげる事無く焦凍さんに言葉をかける。
毎日煩い奴だって思われてるのは分かってるけど私はこうしないといけない。
決まったシナリオの中で動かなくてはいけない。
「苗字さんって轟君と知り合いなの?」
『えぇ、私は余り親しくないけど私の親が知り合いなの』
当たり障りのない答えを言って噂好きなクラスメイトに伝える。
入学してから二ヶ月近くたった頃から時折鋭い眼差しを向けられている。気付いていないように振る舞うのも疲れるなぁと思っているとまた増えたような気がした。
放課後下駄箱を見るとこれまたベタな手紙が置いてあって中身を見てみれば私は体育館裏に御招待されたようだ。
ふと後ろを見ると焦凍さんが居て私は手に持っていた手紙を潰してポケットに入れる。
『焦凍さん、また明日』「…」
何も言わなくても私は構わないので少し笑顔を浮かべて体育館裏へ急いだ。
「苗字さんさ、調子乗ってない?」
「他の子より轟と仲良いからってベタベタしないでよ」
『…』
ファンクラブの人かな?体育館裏に着いたら囲まれて文句のオンパレードが私に向かって来る。
「何か言いなさいよ」
ガツンと頬を殴られて半場呆れながら目の前の私を殴った子に殴り返す。
『…正当防衛です。そんなに焦凍さんに近付きたいのなら御自由に』
返って煩くなったので仕方無しと個性の炎を発動させて軽く脅して名前はその場を離れた。
2018.2.14.
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