プリントとにらめっこ
昨日買った参考書を広げて勉強に励む。
「分からないのか」
隣に座る炎司が手元のプリントを覗き込む。
ここは私の部屋で炎司に勉強を見て貰っている訳だが…距離が近い。
流石に幼馴染みとはいえ距離が近ければドキッとしてしまう訳で…私の頭は勉強に集中出来ていなかった。
『…分からない。これどうすんの?』
「これは応用問題だから基礎を覚えておけば簡単だ。ほら、前のページに基礎問題が載っているだろう?」
『えーと…これか、なるほど…分かるかも』
穴が開きそうな程に私の手元のプリントを見ている炎司が禍々しい黒いオーラを放っている。
私は急いで冷や汗をかきながら問題を解いた。
問題を全部解いてカーペットに仰向けに倒れる。
「テスト赤点取るなよ」
『…頑張る。』
炎司の手が私の頭を軽く撫でる。
だがテストで赤点なんか取った日にはこの優しく頭を撫でている手が頭を鷲掴みにしてメリメリと嫌な音を立て痛い思いをする事になる。
「十分休んだだろう。次の問題を解け、新しいプリントだ」
『うわ…』
これまた難しそうな問題が印刷されたプリントを差し出されて涙が出そうになった。
2020.6.15.
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