8:強さの中に潜んだもの
「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!!」
ヒーロー基礎学の授業になって来たオールマイトに目を輝かせる。
コスチュームが配られ中身を確認して着替えに更衣室に向かった。
「始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!!!」
オールマイトがハキハキと授業内容を話すのを静かに聞く。
「君らにはこれからヴィラン組とヒーロー組に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう」
くじ引きでチームが決まっていく中で私は余ってしまうけど一組だけ3人という事で収まった。
『よろしくね。尾白君、葉隠さん』
「こちらこそ!!よし、私ちょっと本気出すわ。手袋もブーツも脱ぐわ!!」「よろしく、え…うん…」
『…』
何とも返しにくい葉隠さんの言葉に尾白君は困った顔をしているのを横目に一回戦の緑谷君とお茶子のAチームと爆豪君と飯田君Dチームが戦っている様子を地下モニタールームで見る。
ビルの中に居るヴィランチームが隠している核兵器をヒーローチームが制限時間内にヴィランを捕まえるか核兵器を回収する事、ヴィランチームは制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる…というのが今回の屋内対人戦闘訓練みたいだ。
緑谷君と爆豪君はやはり何かあるのか爆豪君が真っ向に狙うのは緑谷君だった。
お茶子も飯田君が守る核兵器のある部屋についたようだ。
結果的に緑谷君とお茶子のAチームが勝ったけど緑谷君の体はボロボロになっていた。
(個性が体に馴染んでいないような感じがするのはどうして?)
物思いに耽っていると2組目が発表された。
『…焦凍さんとは当たりたくなかったのに』
私達Iチームと当たるのはBチームの障子君と焦凍さんだった。
ヴィラン組になった私達は取り敢えず焦凍さんが仕掛けるであろう凍らせてくる攻撃を回避するよう心掛ける事にした。
三階で一人待っていれば建物全体が凍るのが分かって足元に炎を集中させた。
「名前」
『焦凍さん、私は戦いますよ…手加減しないで下さいね』
近付いて来る焦凍に名前は炎を放って肉弾戦に運ぶ。
男女の力は差があれど個性を使って急所を突かれる前に回避するを繰り返す。
「終わりだ」
『っ』
ぐらりと視界が反転する。
一瞬の隙を突いて名前に覆い被さった焦凍に手を翳して個性を発動させようとしたが手首を掴まれて凍らされる。
「名前をこれ以上傷付けたくない。大人しくしてくれ」
『…そんなの…駄目ですよ…』
「…お願いだ、名前…」
苦しそうな表情を浮かべる焦凍を見て名前は息を飲む。
気が付いた時には勝敗が決まっていて名前は戻って来た焦凍に横抱きにされてモニタールームに戻った。
2018.3.2.
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