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私が何の反応も示さないからか襖の前から人の気配はいつの間にか無くなっていた。
「審神者様、加州清光殿が参られました」
『どうぞ』
静かに部屋の中に一人と一匹が入って来た。
『あの、か…』
「主っ!!」
出会ってから一分もたたない内に抱き締められた。
いや、嬉しいんだけど痛い。
力強すぎ…しかも彼は重傷の筈なんだけど。
『加州様、話を聞いて下さい』
「…え…誰、あんた」
えええ…めっちゃ殺気出してる、怖い。
でも私がこんのすけに言った好戦的じゃなくて穏やかな人というのは自分で却下してしまったのだ、ついさっき。
これからの事を考えればこの本丸で近侍として長く居たのは彼だし初期刀でもあるしサポートしてくれると助かると思ったから呼んだ。
上手く従ってくれるかは分からない。
下手したら未来は無い。殺気に怖じ気つかないように手に力を込めて加州を見上げた瞬間こんのすけが口を開いた。
「私から説明させて下さい」
2017.12.10.
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