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「俺っちは薬研藤四郎。兄弟共々宜しくな、大将」
『兄弟がいるの?』
「あぁ、藤四郎は皆兄弟だ。粟田口唯一の太刀、いち兄も含めてな」
『いち兄?』
私が顔を上げると長身に青空のような髪と蜂蜜色の瞳を持つ青年が微笑んだ。
「私は一期一振。以後、お見知りおきを」
『こちらこそ、よろしくお願いします』
私の周りを取り囲んでいるほとんどは兄弟だと言うから驚きだ。
急に巫女服の袴をちょいちょいと引っ張る五虎退に名前は腰を少し折り耳を傾ける。
「主様、あの、良かったら僕が本丸の中を案内したいです」
『本当?嬉しいな』
五虎退と手を繋いで大広間から出ようとすると周りに居た短刀達も案内をすると付いて来た。
ハーレム状態に内心浮かれつつ歩く。
「ここが鍛刀部屋です。ここで刀剣が生まれます」
『へぇ〜、この液晶パネルで材料を設定するのね』
ぐるぐると部屋を案内されながら順番に私の左右の手を短刀達が繋いで歩く。
時たま後ろを振り返れば一期一振はにこやかに微笑みを浮かべている。
全ての部屋を回り厨でお茶とお菓子を戴く。
短刀達は口いっぱいに頬張る。
口元についたお菓子を拭き取る一期を見て静かに微笑ましいと思っていると隣に座った五虎退の口元に沢山のお菓子の食べかすが付いていたので拭き取る。
笑顔を浮かべた五虎退に胸キュンしながら頭を撫でた。
2018.2.1.
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