佑真くんと




春休み。
まだ入学前ですが、新1年生もぼちぼち部活に参加してる人もいます。

その中でも新1年生の佑真くんは、南が丘中出身なので、仲の良い先輩が沢山いますからね。
今日の帰りは、郁哉と天寧と一緒です。


佑真「あれ、玲衣先輩もう帰ったんですね、珍しい」
郁哉「あいつ多分これから女のとこ行く」
佑真「あー、なるほどそういう…」
天寧「でも最近普通に仲良いみたいだよ、むしろ最近は行為はしてないよって」
郁哉「へー。まあでも玲衣も別に体目当てとかじゃないし」
天寧「元々傷擦り付け合う関係だったもんね」
郁哉「まあ手早いから手出しちゃうのはあると思うけど」

佑真「なんか知らないうちに変わりましたね、玲衣先輩。お2人はあんまり変わったイメージないけど」
天寧「まー、玲衣はこの1年女にボロボロにされまくってるから」
郁哉「ね。ほんと見ててやばい話だらけ」
天寧「怖いなー、ほんと」
佑真「俺も高校上がったら彼女欲しいな…とは思いますけど、この年代になると怖い話多いんだなーと…」
郁哉「まー、玲衣は異常だけど。結局相手次第なのかな」


確かに、中学生と高校生の恋愛って結構違ってきますからね。


天寧「佑真って彼女いたことあるっけ?」
佑真「無いですよそれが。部活部活の日々送ってたら気づいたら中学卒業してもう高校生ですよ」
郁哉「まー、俺たちの時よりも凄かったもんね、昨年の南が丘」
佑真「ってもほぼ長江森谷ですけど。流星に至ってはあんなに馬鹿みたいにテニス漬けだったのに彼女ともほぼ3年間付き合ってましたからね、逆に尊敬ですよ」
天寧「あ、もう別れた感じ?流星」
佑真「そもそもが春から付き合い続けられる環境じゃないみたいなので」
天寧「そっか、そりゃそうだよね」

佑真「というか先輩たちも中学の時彼女いたじゃないですか、いや郁哉先輩は今もですけど」
天寧「俺はそんな深い付き合いできてなかったから…」
郁哉「今の彼女はちゃんと大切にしろよ」
天寧「そのつもり」
佑真「え、彼女出来たんですか?」
天寧「うん、1年のほんとに終わりごろから」
郁哉「天寧が今の彼女に可愛い可愛い言いまくってるのは本当に珍しいけど」
佑真「あれ、先輩そんなキャラでしたっけ」
天寧「キャラってなんだよ」
佑真「天寧先輩がそんなデレデレしてるとこ見たことない…」

そんな佑真くんの言葉に、郁哉くんは隣でツボってました。

天寧「郁哉は笑うな」
郁哉「だって図星すぎておもろいもん、天寧いつも彼女できてもなんとなーく過ごしてた風だったからデレデレしてるのは確かに初めて見たよ」
佑真「郁哉先輩がそう言うならそうですね」
郁哉「でもまあ告白される前から可愛いと思ってたんでしょ」
天寧「まー、タイプだなとは思ってたけど」
佑真「逆に今まで付き合ってた人はタイプじゃ無かったんですか?」
天寧「んー、それ言われるとな…」

佑真「さすがイケメンは違いますね」
郁哉「ね」
佑真「天寧先輩って欠点が無さすぎて羨ましい。イケメンだしテニス上手いし優しいし」
天寧「欠点は学力かも」
佑真「え、そうです?」
天寧「いや、考えてみ?俺の中学の同期のメンツを」
郁哉「天寧以外学年上位だらけ…」
天寧「ほんとだよ。晴太は南陵だし、それ以外みんな西星だけど俺以外みんな特進だし」

ちなみに、天寧くんたちの同期には、市内1番の進学校の南陵高校に進んだ晴太くんと、西星高校ではありつつ特進科に進んだ郁哉くん、玲衣くん、陣くんがいます。

天寧「言うて佑真も特進だろ」
佑真「まあ、はい……。親が教師だからその辺厳しいのは…あります」
天寧「なんで南が丘ってみんな頭良いんだ」
郁哉「まあソフテニ大半は塾行ってたしな。でも別に天寧も成績悪い訳ではないじゃん」
天寧「けど流石に頭良い人達に囲まれてたらなぁ?!」
佑真「確かに南が丘=頭良いイメージはあるらしいですけどね、周りに大学多いし、大学病院もあるし」

南が丘中、地域柄、秀才が多いようで。

郁哉「まあでも流石に晴太には叶わんけどさ」
天寧「あいつは勉強出来過ぎ」
郁哉「それ以外にも色々と賢いし、落ち着いてるし大人だしな」
佑真「それでいてテニスも強いですよね、晴太先輩。逆にあそこまで強くて公立行くんだ…とは最初思いましたけど」
郁哉「多分晴太の学力で私立は特進でも勿体無いと思う」
天寧「それはある」

佑真「あー、逆に、頭良すぎて…って感じですか」
天寧「それにまあ、お姉さんも南陵だし」
郁哉「そもそも晴太はいくら結果残しても強豪とか進むつもりは無かったと思う。テニスできればいいや程度。たまたま南陵元々強い人かなり揃ってるから既に個人でもチームとしても結果残してるのはあるけど」
天寧「そう、だから俺小学生の時から晴太とばっかペア組んでたから、高校から晴太と組めないのか……ってちょっとしょげてたもんね、俺頭悪いから尚更」
郁哉「確かに高校でも組んでたら絶対強い」

天寧くんは、中学時代までは晴太くんとペア組んでましたからね。高校からは別々ですけど。仲は良いですけど、やっぱり高校から一緒に試合出ることが出来なくなるのは寂しかったよう。共に切磋琢磨してやってきた相手ですからね。


佑真「でも天寧先輩も西星よりもっと強い高校でも活躍してそうなレベルですよね」
郁哉「それは分かる、県内の強豪私立全てから推薦来たもんね」
天寧「まあ…」
佑真「逆にそこまでなのに近場の西星選んだ理由知りたいですね、まあ西星も強いほうですけど」
天寧「やー、俺は小学生の時から西星でやりたいって思ってたから、ただそれだけの理由だけど…。まあ確かに星の里も気になったけども!」

郁哉「あー、実は俺たちの中で1番昔から西星に憧れてたの天寧だからね」
佑真「へー、そうだったんですね」
天寧「南聖JrのOBの人で、長島泰聖さんって方がいるんだけど、長島さんの活躍が凄くて小学生の俺は憧れてたし、その時に西星も選抜出た年だったから尚更憧れだった」
佑真「西星が選抜出た年って、和希の兄ちゃんが高1の時でしたっけ」
天寧「そう。それで長島さんは和希の兄ちゃんの1つ上」

小学生の頃から、西星高校に憧れがあった天寧くんだそうです。

天寧「長島さん、1年生の時から西星の1番手で活躍してた方で。県大会でも結果残して、1年の時から西星男子の歴史刻んだような方らしくて。で、俺はそうと知らずに小5の時に打った事あって、"将来楽しみにしてるよ"って言われてさ。かっけえ人だな……と思って後日コーチに話したら、色々教えてくれた」
郁哉「へー、打ったことあったんだ、初耳」
天寧「たまたまだけど。星華コートで君弥とかとテニスすることになって、その時隣で西星の人達打ってて、高校生上手いなーってガン見してたらジュニアどこ?って聞かれて、南聖Jrですって答えたらOBだよ!って言われてその流れだったかな」

佑真「てか、1年生から結果残してるのは天寧先輩もじゃないですか」
郁哉「それはそう」
天寧「玲衣には負ける」
郁哉「インドアは勝ってたじゃん」
天寧「確かにそうだけど。でも玲衣のほうが存在感濃いと思うよ今の西星の1年の後衛は」
郁哉「そう?天寧なんて元々名前知られてんのに」
天寧「でも玲衣に一年中番手抜かされてたのは結構悔しいから2年生こそは抜かしたいけど」

そう、天寧くんも高校1年生ながら結果残してますからね。流石なんですよ。

郁哉「てか、兄が全力で天寧のこと星の里へ誘ってたけどな」
天寧「あー、進路の時期咲真先輩からめちゃくちゃ絡まれたや」
佑真「郁哉先輩は咲真さんに付いて行かなかったんですね」
郁哉「え、市外出てまで同じ高校嫌だ」
佑真「あ、そういう…」
郁哉「俺、兄ちゃんの真似っ子って言われるの好きじゃないから…」

その言葉に、2人は爆笑。

郁哉「でも多分兄ちゃんも俺には星の里来て欲しく無かったと思うよ、俺じゃなくて天寧や玲衣ばっか誘ってたくらいだし」
佑真「あ、逆に…」
郁哉「自分で言うのもアレだけど俺兄ちゃんよりは結果残してたから。てか実際にそれが昨年の県総体で証明されたのちょっと面白かった」
天寧「あー、そういえば」
郁哉「だから俺が出るから親が県大会見に行くわけじゃん?でも高3の兄ちゃんは試合出ず応援だったり、あと当番校だったからその仕事もやらされてたわで、あの人プライド高いから多分傷ついたんじゃない?あの時期一切連絡来なかったからね」

天寧「めちゃくちゃボロクソ言ってんじゃん咲真先輩のこと」
郁哉「だからインドアの時俺の兄貴ヅラしたくて見に来たからね」

郁哉くんは、お兄さんが星の里高校に進学していました。もう卒業はしたんですけどね。


佑真「でも先輩たちとまた同じチームでできるの嬉しいですね」
天寧「え、嬉しいこと言うじゃん」
郁哉「頑張ろうね」
佑真「頑張ります」




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