03
また好奇心がムクムクと俺の中で膨らむ。
告白も嫌ではなかった、こうして触れられても嫌悪感は湧かない。
俺はどこまでコイツを、ジュリオを受け入れられるのだろうか。
それが気になってしょうがない。
ジュリオは幸せそうに破顔して、俺の手を両手で撫でるようにして楽しんでいる。
「他はいいのか?」
「他、って…」
俺の言葉に一々反応するジュリオにニンマリ笑って、俺はヤツのタイを掴むとグンっと鼻がくっつきそうな距離まで引き寄せる。
まだ俺が優位だというこの場の空気と、貪欲な好奇心が俺を突き動かしていた。
「キスとか…してみたいとか思わねぇの?」
「っ…」
「俺のこと……好き、なんだろ…?」
挑発するように囁いた瞬間、唇に触れる感触。
少しかさついた唇が触れては離れ、また押し当てられる。
本人は至って真剣なのだろうけれど、子供みたいなソイツの口付けに小さく笑って、今度は俺から唇を触れさせた。
「キス、ハジメテか?」
「…はい」
「キスってのは、こうやんの……ん、っ」
薄いかさついた唇に舌を這わせ、合わさったその隙間から舌を入れて歯列をなぞる。
顎を掴んで口を開かせ、舌を侵入させた。
上顎を舌先で擦り、逃げる舌を追い掛けて絡めとる。
おずおずとだがジュリオも舌を動かしてそれに応えようとしているようだ。
クチュリクチュリという唾液の絡み合う音と、互いの荒くなっていく呼吸が耳を侵していく。
うっすらと瞼を開くと長い睫毛がふるりと震えて、ゆっくりとそこからアメジストの濡れた瞳が顔を出す。
その瞬間、ゾクリとして全身の産毛が逆立つのを感じた。
「…っ、は」
「……ん、…ぁ…っ…」
どうしよう…キモチイイ……
キスなんて、ただ口と口を合わせるもんだって思ってた。
セックスの前の前戯でオヤクソク、これを済まさないと突っ込ませてもらえないからやる、そんな認識だったのに………。
気がついたら俺はジュリオの首へと腕を回し、夢中になって舌を絡めていた。
「っ…ん…は、ふっ……」
「は…っ、ジャンさ……ッ」
苦しくなって、名残惜しくも唇を離せば、それを表すかのように銀の糸が繋がり、ゆっくりと切れて俺の顎を汚した。
ジュリオを引き寄せ、額を合わせてまた唇を寄せる。
今度は初っぱなから貪るような激しいキス。
けれどすぐにそれだけじゃ物足りなくなって、未だ消えぬ好奇心に任せた俺は一度唇を離してジュリオを抱き寄せると耳元で囁いた。
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