01

「ジュリオ……お前、俺の寝顔見てただろ?」

しん…っと静まり返った俺達以外誰もいない、放課後の教室に俺の声が響き渡る。
隣の席に腰掛けていたジュリオの身体が大げさな程にビクンと跳ね、目をさ迷わせていた。
まさか俺が起きていたなんてコイツは知らなかったのだろう。


昼休みの屋上で、あまりの天気の良さにうたた寝していた俺の元へ、足音一つ発てずにやってきたコイツ。
気付いたのは俺の顔に影が差したからだ。
うっすら開いた瞼の隙間から見えたコイツの……ジュリオの嬉しそうな表情に、俺は寝たフリをして様子を窺うことにした。
だが別段何かをしてくるワケでもなく、予鈴が鳴ると同時にジュリオは屋上を去っていった。


その事が気になっていた俺は今こうやって、誰も居なくなった教室でジュリオと二人きり、理由を訊こうと思ったんだけど……サ。
別に怒ってるワケでもねぇのにジュリオは叱られた子供みたいにジッと下を向いたまま、膝に乗せた手をきつく握り締めていた。

「別に怒ってるワケじゃねーって、ただ何で寝顔なんか見てたのか知りたいんだよ、俺は」

そう、俺は知りたいんだ。
毎日毎日飽きることなくただただ俺を見つめ、話し掛けるでもなく触れてくるでもなく、熱い視線だけを向けてくる理由を―………



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テーマ「人外ファンタジー」
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