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デイバンホテルのフロントは今日も忙しなく人々が歩き回り、受付嬢は笑顔でお客様の対応、ボーイさんも笑顔でお客様を部屋に案内している。

そんな様子を横目に俺、ジャンカルロ・ブルボン・デルモンテはフロントの目立たない隅っこの方で至福の一時を味わっていた。

仕事からn…一仕事終えて、優雅にコーヒーを片手にドルチェを楽しんでいる所だ。

いつもだったらベルナルドに押し付けられた部下と一緒に出かけるので視線を気にしてしまうが、今日はまだデイバンホテル内だからゆっくり一人の時間を満喫している。

さて、コーヒーで喉も潤ったことだし、そろそろドルチェを頂くとしますかな。

「へへっ、いっただっきまー」

『おいこら』

「……」

『あからさまに視線反らしてんじゃねぇぞこら』

…知らない間に隣に座り黒髪の隙間から目を爛々とさせて俺のことを睨み付けてくるのは、俺のたった一人の直属の部下、なまえである。

部下兼、恋人でもあるんだけど…ね、とっても厳しいの。

『お前何でここにいんの、何優雅にドルチェとか食ってんの』

「…今、休憩中なんです」

『仕事部屋のベルナルドやルキーノの部下達が書類持って待ってっけど』

「ナンノコトカナー」

思わず片言になってしまった…。

『おい、俺の目を見て言ってみろ』

「……」

『ったく、逃亡癖は刑務所だけにしとけよな』

…そう、俺は一仕事終えてここにいるのではない、無駄に長い文章の書類にサインをひたすら書きペンの貴重なインクを減らし続けると言う地獄から抜け出し…つまりは仕事を放り出してドルチェを食べているのだ。

いやだって、午前中のノルマはクリアしたはずなのに無くならない書類が悪いんだ!
俺は悪くない!
無くならない書類やそれを運んでくるあいつらの部下が悪いんだああああっ!

『ジャン、声に出てる』

「あ、ごめん」

いつの間にかテーブルに足を乗せ絶叫していた俺を静止させ見ていたボーイさんに頭を下げてから二人で改めて座り直す。



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