25/10




その後、色々あった―……

俺が幹部になって、カヴァッリ爺様が引退……このことを幹部は納得してて、脱獄に成功したら―……俺はコイツらのボスになる、みたいだ。

"ラッキードッグ"

俺の二つ名だ。
べらぼうな運の良さ、いっちょ見せつけてやりますか―………!!






―………そんな粋がってた昨日の俺、カムバック。

今朝はちょっとヘコむ事があった………点呼をとりに来たのがロイドなことがまず1つ。
そしてもう1つ―………

「ハァ〜……」

「そんなに落ち込む事かい?ハニー…アオイにだって都合はあるだろう?」

そう、今朝はアオイが迎えに来なかったのだ。
房にもいなくて、食堂でもあの目立つ白髪は見当たらなかった。
胸がモヤモヤする……昨夜あまり眠れなかったせいもあるだろうが、やっぱりアオイの言った言葉が気になって仕方がなかった。

ベルナルドと別れてから俺は偵察という名の散歩をしていた。

脱獄なんてとびきりタイトなパズルを解くのと同じで楽しいもんだ。
大事なのは、奇跡ってほどのもんじゃねぇ……周到な準備と根回し、あとは………少しの幸運があればいい。

頼りになる古馴染み、ベルナルド・オルトラーニ

エラソーなライオン・ヘアー、ルキーノ・グレゴレッティ

礼儀正しい戦闘員、ジュリオ・ディ・ボンドーネ

うるさい、イヴァン・フィオーレ

そして…俺の愛しのダーリン、アオイ・九条

5人の考え方とか、人間……アオイに関しては幹部も睨みきかせてるし、よくわかんねーんだよなぁ……
準備と根回しにはこいつらの力が不可欠だ。
フレンドリーになっておくに、越したことはないな……

部下の把握は基本だろ?
未来のボスとして


ドカンと音がしてどよめきが起きていた。
何事だとそちらに目を向ければ、その中心にはイヴァンがいて、どうやら3on3でもしているようだった。
ま、バスケのルールとかよくわかんねぇんだけどな…って、おいおい…あのヤロウGD連中と……

「イマドキの若者は気楽だねー」

ザクザクと音をさせながら足音が近づいてくる。
屈んでた俺の背に重みが生じ、イヴァンがそこに腰掛けたんだと分かった。

「何ジロジロ見てたんだコラ」

「お前、GDと親しいのか?」

「ばっか、ベルナルドのフォローしてんだよ……あいつ、微妙に手ェ回ってないっぽいしな…」

ハァ…と大きく息を吐いて、イヴァンは話続ける。

「不安定になった外の影響で、塀の中も乱れかけてる……ヤバイ事にならねぇ様、調整がいるだろ……へっ、外に出たらあのメガネがどんな顔するか、見物だな」

「何が」

「二年前だよ、知らねぇのか?」

「その頃、俺ほとんどムショ暮らし」

「二年前のGD抗争…停戦の交渉役だったのがベルナルドだ」

声のトーンを落として、イヴァンは気味の悪い笑みを浮かべてそう言うと立ち上がり、歩み出す。

「あの件に関しちゃあ?ルキーノだって思うとこ多々―……だろうしなぁ……気になんなら他のヤツあたれ、オメー相手に口開きゃいいがな……ククッ」

二年前のGD抗争―……気にならないって言ったら嘘になる。
けど今はそんな事を気にしてる場合じゃない、脱獄に集中……!

と、いうワケで…ちょっとこれからメンバーと少しでも打ち解けられるように、お話でもしてこようかしら、ね?




[ 10/25 ]

[*prev] [next#]


[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -