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「アオイ…」
今にも雪が降ってきそうな寒空の夜、独り屋根の上で見張りをしていると気配もなく声がかかった。
振り返りそこへ顔を向けると困ったように微笑する佐助の姿。
どうしたのかと訊ねるより早く、ふわりと愛しい香りに包まれたかと思うと肩に布が触れた。
視線をそこへと向ければ見慣れた鶯色の羽織り。
「今日冷える。だから、着て」
「それじゃ佐助が…っ」
「我部屋戻る。無問題。」
そう言った佐助は私の頭を軽く叩いて微笑むとスッと消えてしまった………
…………………
……………
………
…
「…………なんて夢見てるのよ、私は」
目が覚めた私は見慣れた天井を睨みつける。
なんだってあんな昔の事、夢にみてるんだか
のっそりと上半身を起こして伸びを一つ。
布団をしまうために畳んでいるとぶるり、身体が震えた。
襖を閉めて障子へと歩み寄り、両手でゆっくりと開けていくと白んだ空へ白い息がのぼった。
「……あの日に似てるから」
ぽつりと零れた言葉はしんと静まり返った部屋へと消えた。
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