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あの書状を見せられてから一週間ほど、嗅ぎ回っているが敵さんの尻尾はおろか臭いすらまだ掴めていない。
まぁ問題は以前出された協定が破れつつあるってことだ。
筆頭幹部、ドン・オルトラーニの努力の結晶……だからカタギサン達を守るのが先決だとGDを叩くのに手間取っているのが現状だ。
ジュリオがパクられたのが一番の痛手かもしれないな。
そして何よりの大問題がウチらのボス、アレッサンドロ親父が行方不明になった事だ。
焦りを隠しているのが手に取るように分かる今の組織、潰すならこの機会を攻めるだろう。
だが残念だったなGD、狂犬―…“MADDOG”とまではいかないが俺もそこそこヤれるんだ。
「……死にたいヤツからかかってきな」
さて、俺の働きも功をそうして?只今デイバン市内の高級ホテルにてトーニオと訪れ、CR:5幹部様方と無事会う事が出来たんだが―………
「…………」
「…なぁアオイちゃん、お前どういう関係ヨ?」
ニヤニヤしたジャンが俺を肘で突いてくる。
頭にくる顔だ。
扉を開けた途端、俺の視界は紅一色になった。
背に回されたそれが小刻みに震えていて、耳元で小さく囁かれる自分の名に、全身の力が抜けるのを感じた。
つまり感極まったジュリオが俺に抱き付き、終始離さないもんだから呆れたトーニオは俺を置いてとっとと部屋に戻った、と
「…狂犬飼い慣らすなんて〜んもぉ!アオイちゃんたらスミにおけ…アダッ!」
さすがにイラッときてゲンコツをかましてやった。
痛そうに頭をさするジャンが恨めしそうに俺を睨んでくるが気にしない。
「おかえり、ジュリオ」
「た、だいま…です……アオイ、さん」
可愛いジュリオ、俺のジュリオ…
大好きなお前が戻ってきてくれて、俺は嬉しいよ
………なんて、口が裂けても言わないけど、な
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