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何度目だか分からないムショ送りに溜め息を吐く。
俺も今じゃ26、腰に刺れられたのは17になってすぐ、トーニオに忠誠を誓った日だからもう9年になる。
この長い年月、色んな事があった。
トーニオの使用人やジャンに習って英語、イタリア語は話せるまでに成長したし、刀と銃も大分使い慣れた。
背もかなり―………といいたいが、そこはそれなりに、外国人に適わないながらも大きく育ちましたマル

それに恋もした。
まぁ苦悩と絶望と胸の痛み、この初恋は上手く飲み込めずに難有りだったが……今じゃ受け入れられたしまだ想い続けてる。
まったく重い初恋だぜ。

そんで一番驚いたのはジュリオの事なんだけど………これはまた後日。





「…トーニオ」

ちょっと問題が発生中だとトーニオに呼ばれて屋敷を訪ねると渋い顔をした彼に迎え入れられた。

「アオイ今の現状を理解しておるな?」

「あぁ、幹部筆頭、トーニオ以外の幹部がムショ送りになった、街は今その話で持ち切りだ」

「頭の痛い話だ…」

「俺を呼んだって事は疑ってんだな?」

俺が事も無げにそう告げるとトーニオは苦虫を噛むように顔を歪めて目を逸らした。
その瞳には困惑と怒りが見え隠れする。

普段なら俺が疑わしいターゲットの周りをうろついて調査をしたのち、白か黒かの判断を下すとジュリオが動く。
それに同行して俺も暗殺の手伝いをするってのがスタンダードな流れ。

だが今回ジュリオまで捕まった。
つまり全部を俺がすることになるワケだが―……

「お前が全てをこなさんでもよい、少し内情を調べておいてくれ……それから、たった今カポ・アレッサンドロから書状が届いてのぉ…」

その必要はなくなったようだ。
封筒から数枚の紙を取り出したトーニオはこちらへとその紙を差し出してきたので、俺はそれを受け取りトーニオに一度目を向けてからその紙へと目を落とす。
渡された書状にはこう書いてあった。

―…お前から受けていた幹部位の移譲を認め、ジャンカルロ・ブルボン・デル・モンテを新たな幹部位に迎えることになった……ジャンカルロのいる刑務所に今、我らCR:5の幹部四人が収監されている事は知っているだろう?……そこで私は奴に命令を下した…その内容は以下の物だ………四人の幹部を連れ脱獄せよ、脱獄に成功した暁にはジャンカルロ・ブルボン・デル・モンテに頭首の座を譲る意志である、と……トーニオ、宜しく頼んだぞ…―


何だ、この内容は……

俺の読み間違えでなければジャンが二代目カポ―……つまりボスになると書いてある。

「そしてアオイわしはお前をジャンの跡目にと思っておる」

「無理、嫌、ぜってーならねぇ」

「アオイ…」

速攻で否定した俺にトーニオは呆れ顔で溜め息を吐く。
溜め息を吐きたいのはこっちだってんだ。

「トーニオ、俺はアンタの下だからついて従ってる。上に立つタマじゃねぇよ…俺はこのまま誰かの下にいるのが性に合ってる」

「その頑固は誰に似たのかの…まったく」

苦笑するトーニオに俺も笑う。

さぁ、これから忙しくなるぞ

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