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車に乗り込んだ俺は目的の場所へ向かう最中景色を見ていた。
都会の街並みから次第に寂れた物へと変わっていく。

「ボス、着きました」

「ご苦労ちゃん…そんじゃ行ってくるから、待機しててくれ」

返事を待たずに車を降りた俺は身を震わす。
やはり陽が暮れてくると少し冷え込む。
持っていたショールをアイツがしてたみたいに首へと巻き付けてから、ゆっくりと歩き出した。









「よぉ、ちょーっと寄り道してたら遅くなっちまった…逢いたかったか…………?」

積もった枯れ葉を払ってそこにしゃがみ込む。
にっこり笑ってそう告げれば微笑まれた気がした。

「ジュリオ…」

名を口にしただけでこみ上げてくるそれを笑って誤魔化す。
ゆっくりと手を伸ばして、アイツが喜ぶようにそっと撫でてやる。
けれど触れた手に伝わるのは冷たく硬い質感。

「ホラ、これ買ってきたんだ……お前好きだったろ?甘いの」

袋を漁って取り出したのはアイツが好きだった甘い菓子。
見上げればそこに照れ笑いを浮かべて尻尾振った可愛い俺のわんこの姿……なんて、あるはずもなく、無情にも迎えてくれたのはジュリオの名が彫られた御影石だった。

ここにアイツは―……ジュリオは眠っている。




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