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不思議に思ってそこへと目を向ければ、寄り添うように身を寄せて座る佐助の姿があって、私の鼓動があり得ないくらい早音になった。
そんな事まったく知らない彼は遠くの方を見つめていて、何故だかやるせない気分になる。
ちっとも私なんか意識してない、そういうふうに思える佐助の態度に一瞬胸の奥がチクリと痛んだ。

「アオイ」

「ん?」

「最近変。悩み、あるなら聞く」

不意にこちらへ顔を向けた佐助は真剣な表情で私に訊ねてくると、真っ直ぐな瞳で見つめてくる。
自身の変化に多少でも気付いてくれたことに嬉しくなるも、投げられた問いに“佐助のせい”だとはとてもじゃないが言えそうにない。
適当にあしらって話を変えようかとも考えたけれど止めた。
どうせ見繕った答えに佐助は納得しないだろうし、それで周りの連中を探られるのも面倒だと践んで当たり障りない程度に話すことにする。

「やっぱ佐助には分かっちゃうか…私ね、恋…しちゃったんだよ」

「恋…?」

「うん。好きな人がいるんだけど……ほら、忍に恋愛は御法度でしょ?だから想ってる分にはいいかなって思ってたんだけど…その人にさ、好きな人がいるんだよねぇ」

あはは、と困ったように笑って見せたはずなのに佐助の表情は凄く辛そうで、何でアンタがそんな顔してんだって、今にも泣きそうな佐助を見て溜め息を吐いた。

「想ってるだけでいい、そう思ってたわりには結構辛くてさ、これからもずっとこの痛みが続くならしばらく離れた方がいいかな、って」

そう呟いて佐助を見つめた。



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