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「初めてで男5人も相手するなんて……キツくないか?」
長い口付けの後苦笑混じりにそう問えば、彼女は左右に首を振ってみせる。
首に回されていた腕が解け、上着のボタンへと彼女の指がかかった。
「ちょっと…ん、……でも平気だから」
そう言ってゆっくりと俺をはだけさせていく。
どうにも納得いかない。
さっきルキーノが言ってた"処女にしては大人びた口振りで誘ってきてな"ってのと今の彼女の口調が一致しない。
単に疲れきっているのかとも思ったが、たぶんコレが素でさっきのは強がってたんだろう。
そうまでして抱かれたい理由が知りたい…
「……アオイ、アンタ用済みになったら殺されるかもって…思わねーの?」
滑らかな肌に触れ、首筋に舌を這わせたり乳房を揉みしだいたり、愛撫の合間にそう問えばピクリと震えた。
背に腕が回されグッと引き寄せられ、はだけたそこが彼女の冷え切った身体へと重なる。
「それならそれで…構わない…」
耳元へ唇が寄せられ、殺さないでと懇願するのかと思いきや、彼女は小さくそう囁いた。
驚いて顔を上げて見つめる俺に、彼女はゆるく微笑むと俺の頬を撫でてゆっくりと唇を動かす。
「どうせ生きていても死んだような生活を送るくらいなら、死んでも構わない……女の喜びっていうの、知ってみたかったの」
「アンタまだ若いのに、何言って……」
「今のは、忘れて…」
少しだけ泣きそうに笑う彼女はこれ以上話さない、そんな素振りで俺の唇を塞ぐようにキスをしてきた。
本来ならここらが潮時、あまり深入りせずやること済ませば後はさようなら。
それが俺達にも、女にもいい事だってのは分かってる。
わかっちゃいるが、何故だかそれが出来ねぇ…
俺は彼女を掻き抱くようにして身体を密着させると唾液を送るように、舌を絡ませた。
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