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ようやく解放されたのは深夜を針が3つ程進んだ頃だった。
これから2日間は休みだ、そう思うと自然と顔が綻んで先ほどの疲れも軽く感じる。
ジャンはシガレットに火を点けるとジャケットのポケットに手を突っ込み歩き出す。

確か早ければ明日の昼頃には帰ってくる、そう昨日の電話で言っていたのを思い出したジャンは久々にやってくる恋人との休日をどう過ごそうかと思いを巡らせる。
飾り付けをして驚かせてやろうか、はたまたうんと甘くしたホールケーキを焼いてやろうか、あ…シチューが好きだったな…アイツ、喜ぶかな……考えては簡単に思い出せる愛しい照れた笑顔に、ジャンの帰路につく足取りは軽くなっていた。




二人で借りたアパートに帰宅したジャンは明かりの点いていない室内に寂しさを覚えたが、明日にはまた二人だと考えて、キッチンへと足を向けた。

「…さてさて〜、冷蔵庫ちゃんの中には何があるかしらン?」

中を覗いたジャンはどうにか作れそうだと、さっそく調理に取り掛かった。
2日目が一番ウマい、それになるべくなら帰ってきたアイツのそばにいてうんと甘やかしてやりたい、ジャンは鼻歌混じりにこぎみ良い音を奏でながら手早く調理していった。



調理を一段落、スポンジが焼けるのと煮込み段階にある寸胴鍋の仕上がりを待っていたジャンはあることを思い出し、部屋の中を探し回っていた。

「…確か、ここらに……っと、あった!」

宝箱を見つけ出した少年のような顔をしたジャンは誇らしげにそれを掲げて見上げる。
それはちいさなミニチュアツリー。昨年大きなもみの木をを買おうとする恋人を制し、これくらいが丁度いいんだと言って買ったものだ。

懐かしむように見つめて、それをテーブルの上にちょこんと飾ってみる。

「早く、お前の顔が見たいよ……ジュリオ」




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