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「…よし!我ながら完璧!」

腰に手を当て、今し方終えたそれを前に顔を綻ばせる。
風に揺れるそれらが清々しい。



悴んだ手を擦り合わせながら屋敷へ戻ると見知った気配を感じて駆け出そうとした私はその足をピタリと止めた。
遠くに居る佐助の姿を捉える。そこには普段あまり見せない微笑みをそこに描いて、頬はうっすら赤みを帯びていた。
最近よく目にするようになった彼のその表情。
それを見る度、胸を締め付けられる思いをする。

柱の陰から時折見える薄水色。
相手なんて、見なくても分かってしまう。
踵を返した私は独りになれる場所を探すため、屋敷を後にした。



伊賀の才蔵と伊佐那海が来たのはいつだったか。
佐助は彼らが着てから変わった。いや、彼女が来てから、だ。
彼が恋をしたのだと瞬時に理解できた。
同じ里にいてずっと佐助を見てきたのだ、分からないはずがない。

傍に居られるならそれでいい。
忍にとって恋愛なんて邪魔にしかならない。死んでいった仲間が教えてくれた。
だから佐助への想いを口にすることなく今まで過ごしてきた。
けれどやっぱり……


「…苦しい、な」

独りぽつりと呟いた。
いつの間にか来ていたのは森の奥で、誰もいない事を確認した私はへたり込んだ。
そこへやって来るのは佐助の可愛い仲間たち。
私を見つけるとすぐに擦り寄っては頬や手を舐めてくる。
そんな彼らの優しさに苦笑しながら撫でてやると気持ち良さそうに喉を鳴らした。

「ダメね、こんな事で動揺するなんて…忍失格だわ」



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