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あれから数時間。私は間取りを彼に教えてちょっと遅めの昼食をとり、只今作業をしている。
そもそも何故作業をしているかというと、あのバカラグがメールを寄越したのだ。
"バスケットの底に小さい家具を入れておきました。組み立て式です。貴女なら説明せずとも出来ますね?"
と、言われるがままにバスケットからクッションを取り出してみると小さなパーツに切られた木片がこんにちは。
というわけで、絶賛作業なうなわけです。
「………」
なんか凄く視線を感じるのだけれど…
先ほどからジュリオくんは私の作業に興味津々なのか、ずっと凝視状態。
何も面白いことは起きないと思うけど、な。
「…よし、ニス塗るか……」
出来上がったのは箪笥一式。それからベッドの木枠…なぜか天蓋付きっぽいヤツ。
磨き終えたそれにニスを塗って乾かしているところにクチュンと、何とも可愛らしいくしゃみが聞こえてきた。
「ごめん!寒かった?これにくるまって…」
裁縫箱から余り布で彼をくるむように巻き付け、次の作業に取り掛かる。
そう、彼の服をこさえるのだ。
「…これ、切るんですか?」
思いつくままに型紙を作成して布に印をつけていると、ジュリオくんが寄ってきて訊ねられる。
「外側の線を切るの。内側は縫うための印」
「手伝います…切れば、いいんです…よね?」
「うん」
返事をすればどこから取り出したのか、小さなナイフを手に取り鮮やかなナイフ捌きで布を切っていった。
私が裁断するより綺麗。
「終わり、ました」
「ありがと!助かったよ…って、ジュリオくん器用なのねびっくり」
「そんなこと、ありません…っ」
あ、照れてる可愛い。
それから針の糸通しなども手伝ってもらい、作業はいつもより捗るうえに速やかに進められていった。
まさか下着やパジャマまで作るとは思わなかったけど、ジュリオくんが嬉しそうに尻尾振ってるからよしとしよう。
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