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ラグのヤツが"珍種ですので、他の方に見られないように"とかのたまいやがって、焦って勢いよくバスケットの蓋を閉めた。

それから"餌は貴女と同様のもので構いません"とか"尊敬されれば懐きます"とか、ラグが話しているのを誰かに聞かれてるんじゃないかとヒヤヒヤしながら聞いていた。




ラグと別れて自宅に着いたのは数十分後。
部屋に入るなりテーブルの上をサッと片付け、換気を回してクーラーを点けてバスケットを開いた。

「ごめんなさい、暑かったでしょ?」

申し訳なく思いながらバスケットから出してやろうと手を入れた瞬間、あからさまに避けられてしまった。

うぉおぉぉっ、地味に傷つく…!

「…や、中は暑いだろって出してあげようとしただけ………って、」

固まる私をよそに小人は器用によじ登って、縁に立ったかと思うと何の事もなげにぴょいっと飛び降りた。

「!…危ないッ!!」

咄嗟に両手を滑り込ませて目を瞑る。
手のひらに当たる感触にほっとして瞼を開けると、不思議そうにこちらを見ている彼と目が合った。

「…何?」

訊ねると彼は視線を自分の下にある私の手のひらへと移し、その小さな手で撫でてくる。

「……した」

「ん?」

「俺、なら……平気、でした」

それは助けなくてもよかったのに、という事だろうか。
けどあそこで手を出さなかったら私がきっと後悔していたはずだ。

「万が一、キミが怪我でもしたら私が心配なんだよ」

「何故?俺と、貴女は…今日会ったばかりです」

「うん、そうだね…でも私が内に入れたモンは大事なヤツになるからさ、時間や日数は関係ないの」

目線を合わせてそう告げると、彼は驚いたように目を見開き、立たせていた耳を横に垂らした。

「ようこそ我が家へ、ジュリオくん」

優しく押さないように小さな頭を撫でてやると、ピクンと反応をした彼。
小さい尻尾が揺れているのは好意を持ってくれたのだろうか?
まだまだ打ち解けるには時間がかかりそうだが、うまくやっていけそうな気がしていた。





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