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カフェなう。

あの後烏の行水でパッパと支度を済ませて、やって来ましたカフェ。

「…………ねぇ」

「はい」

「なんで、テラスなわけ?しかも!何で真夏に長袖なんか着ちゃってるわけ!?暑っ苦しいったらないわ!!」

向かいに座る変人…もとい、友人であるラグトリフを睨みつけて告げるが、いたって涼しげな表情を返された。

「貴女、蚊に刺されますよ?」

コロコロと笑うラグに一瞬殺意が芽生えたのは言うまでもない。
諦めの意味を込めてため息を吐いて彼を見つめる。

シルバーの髪に丸いレンズのサングラス。
どっからどー見ても、怪しいお兄さんな彼が私の超稀少な友人の一人である。
知り合ったのは材料を買い付けてる店で出会ったのがきっかけだ。
偶然にも日に行く店々で彼に会い、私より豊富な知識と売り場の把握をしていた事から、買い物に付き合ってもらった。
本業は"秘密"らしい。
知らない方が良い事もありますと微笑で言われた。
別にそういう事を気にするタイプでもないし、いいのだが。

「アオイさん、前に言ってましたよね」

「…何を」

「ペットを飼ってみたいと…」

あぁ、確かに言った気がする。
ペットは飼ってみたいと常日頃から思っていた。けれど、絵の具やら裁縫道具に工具、そんな物が散乱する室内では生き物を飼えないのが現状である。

「だから、私の部屋じゃ無理なんだって」

「大丈夫ですよ。貴女にピッタリの仔ですから」

「いやいや…物を飲み込んだり、臭いに酔ったりしたら大変なんだって」

「ですから、その心配は無用です。この仔です……おや、寝てしまってますねぇ」

小さなバスケットの鍵を外してラグは楽しそうに呟くと、バスケットごとこちらへと向けてきた。

「…な、に…コレ……ッ」

中を覗き込んだ瞬間、驚きのあまり言葉を見失う。
そこには、可愛らしい寝息を発てながら眠る、うさ耳を生やした小人がいた。

「…誰…ですか…?」

視線に気付いたのかうっすらと瞼を開けたその生物は小さな声を発した。

「名前はジュリオです。可愛がってあげてくださいね、アオイさん」

ラグが楽しそうに笑って私を見つめている。
戸惑う私に小さなそれは小首を傾げて見上げていた。

「…初めまして、飼い主です」

それだけ言うのが精一杯でした。




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