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真夏…ノースリーブに下着姿、メイクもせずにクーラーガンガンに効かせた部屋でちんまいテーブルの前に胡座をかいて、作業に没頭している。
手は何だか分からない色に変色しているし、自分でも女子力低下だと思うほど、女らしさに欠けてきていた。

「……できたーっ」

グンと背伸びをして首を鳴らせば、おっさんよろしく軽快に鳴ってくれた。
まずまずの出来に満足して、座りっぱなしで固まった身体をほぐしながら、手を洗うべくキッチンへ向かう。



昔から手先が器用だった事もあり、今はネットで自主製作の品を販売して生計を立てている。
だから変わり者扱いされるし、友達も少ない。
外に出るのは大概が材料の買い足しと、食料確保、後はどーしても行かなきゃなんない用の時だけ。

爪の先まで綺麗に洗ったところで軽快な音楽が部屋に鳴り響いた。
できるだけ素早く且つ綺麗に手を拭って音の発信源を手に取る。
パネルに出ている名前に眉をしかめて放置を決め込んだ。
コイツからの電話にろくなことはない。
しばらく経てば鳴り止んだそれに小さく息を吐いて、ソファーへと放り投げる。
安堵したのも束の間、今度はメールの着信音が鳴った。
ソファーに駆け寄りメールを開くと"居留守は携帯ではできませんよ?分かってるでしょ?嫌な思いをしたくなければ、次の電話に出てくださいね"と、ニコチャン付きで書かれていた。
ほら、悪い予感。

ソファーの背もたれに身体を預けてだら〜っと天を仰ぎ見ていれば先ほどの着信音が鳴り響いた。
しょうがないと"通話"に指をそえた。

「……はい」

『ごきげんよう、アオイさん。今日も天気がいいですねぇ』

「……アンタまさか、」

『えぇ、いつものカフェでお待ちしていますよ』

そう言ってコイツは電話を切りやがった。
天気の話が出た時は大概そうだ。こんな炎天下の中を歩くなんて溶ける。
そんな事を考えてしまい頭を両手でかきむしった。

「だーーーっ、もう!!」

叩きつけたくなる衝動を抑えて、"風呂に入って準備してから向かう"とメールを相手に送りつけて風呂場へと向かった。




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