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あと1時間程もすれば昼食だ。
その前にアオイを見つけ出して誤解を解いておかないと……ベルナルドに任せるのも手だが、また火に油注ぐような事にでもなったら困るしな。
刑務所内を早歩きで進む。
目立つ白髪を見逃さないよう遠くまで目を凝らしていれば、見知った人物が声を掛けてきた。
「ジャンさん」
振り返るとアメジストの瞳が少し困惑気味に俺を見つめていて、その様子に少し引っかかったがアオイを探す事が第一だと考えてジュリオに謝る。
「ジュリオ悪い、後にしてくれねぇか?俺今アオイ探すのに忙しくてさ」
「…ぁ、その」
「だから後でな」
「アオイさんなら、知ってます…どこに、いるか……それで声を掛けたので…」
向けた背にジュリオの消え入りそうな声が聞こえて反射的に振り返る。
ジュリオは足を止めた俺に歩み寄ってきて道すがら話すと言ってきたので、俺は踵を返してジュリオと並んで歩いた。
「……アオイさんの様子、いつもと違って……思い悩んでるみたいで、声を掛けようとしたんですけど…」
「タイミングが合わなかったか?」
「いえ、そうではなく……変わった看守と言葉を交わしていたので」
"変わった看守"って、もしかしなくてもロイド?
何でアオイが?用ってまさかロイドにじゃ……
「その後すぐにアオイさんは別の場所に行ったんですが……すぐに戻ってきて、」
こっちです、と言ったジュリオに案内された場所は"準備室"の前だった。
「ここにアオイが…?」
「はい……ですが、その前にあの看守も入っています」
「!?」
それを聞いた瞬間、俺はドアへと駆け寄ってドアノブへと手を掛けていた。
鍵がかかってるかどうかなんて考えもせず、ただアオイの事しか考えていなかったのだ。
けれど呆気なくドアは開き、俺は勢いよく中へと飛び込んだ。
「……ジャン?」
「あぁ〜、もう!これからだったのにっ」
そこには、虚ろな目をしたアオイが立っていて、その前に屈むロイドがアオイの服に手をかけているところで、俺は止まっていた思考を働かせてズカズカと中へ入るとアオイの腕を掴んで歩き出した。
「ちょ、ジャン!」
「………」
後ろでアオイが何か言っているがそれには答えず、ジュリオの横をすり抜けて俺はただ人気のない場所を探して歩き続けた。
「…ジャン、ってば!離してよ!」
ようやく見つけたのは古い物置小屋で、俺はそこでアオイの腕を離すと向き直って睨み付けた。
そこでハッとした。
アオイが初めて眉間に皺をつくって俺を睨んでいたのだ。
もしかして、怒ってる?
何で………
「……あんなのが好みなのかよ?」
「……は?」
頭に血が上ってる勢いでつい、口をついて出たのはそんな言葉だった。
違う、たぶんアオイは俺とベルナルドの件があるから…自分のこと棚上げして何言ってんだって、そう思ってるに違いない。
「そっか、アオイって男色家だったのか…なら、俺が相手してやるよ…」
「ちょッ……!!」
俺のアオイは誰にも触らせない―……
変な独占欲にも似た感情が胸を渦巻き、俺はアオイを壁に押し付けるとロイドがしてたみたいに屈んで、前を寛げるとまだ柔らかいそれを手で包み込むようにしてやわやわと揉み始めた。
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