恐怖
2011/09/06 21:30

私は見える方ではないんですが、まれに視線を感じたりすることがあって、けれど何かあるわけでもないのであまり気にしてなかったんです。そんなある日……
『ねぇ、ちょっと…』
隣のクラスにいた親友が朝のHRが終わったと同時にやってきて、廊下へと私を連れ出したのです。
いったい何事だと思っていると、彼女は口ごもり目線をさ迷わせ、どうにも戸惑っているふうだったのが見て取れた私は話すように促しました。
『…私、聞いちゃったの!こ、怖くてっ』
私の制服の裾を握って、彼女は話してくれました。
それは1つの都市伝説のような怪談で、最近この学校で流行っているらしい噂話だったのですが、こういうのが流行っていることを知らなかった私は最後まで黙ってきいていました。
それは1人の女性の話でこの話を聞いた者は3日以内に彼女が現れる、そしてその時目が合ってしまった者は決して逸らしてはいけない、逸らせば連れていかれる
という在り来たりな内容で、私はそんなに気にするでもなく、彼女を安心させるように笑って教室へと戻ったのです。
その日、知り合いの男子生徒が遅れて学校へと来ました。
遅刻だなんて珍しい…真面目な彼は普段遅刻をするような人ではないので、別クラスの私は後で聞いてみようと思ったのですが、休み時間に入ったと同時に男子生徒が『1組のヤツが見たって!』と言ってやって来たのです。
彼だと瞬時に気付いた私は、安易に話を聞いてしまった事を後悔しはじめてしました……
話を聞いて3日目、何事もなく過ごしてきた私は安堵の息を吐いていました。
やはり噂は噂に過ぎない、見たなんて話を大きくするための嘘だったんだ、と思い、布団に潜り込みました。
当時小さなアパートで家族4人暮らし、自分の部屋などなく川の字なって寝るのが当たり前だった私は隣で寝る母がいることもあり、ゆっくりと眠りへと落ちていきました。
それは突然の事でした。
急に脳がスッキリとしたかと思うと身体が強張り、身動き一つ取れなくなってしまい、金縛りというものを初めて体感したのです。
不思議な事に瞼を開けていないのに部屋が見え、身体が重くなったかと思うと目前に長い髪の毛が現れたのです。
隙間から見える青白い肌、助けを求めようも体は動かず、私はそのまま気を失っていきました……


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