[]




とりあえずみやこが応援してくれるみたいで。
聞けば、彼女はいたことがなくて、バレンタインにはたまーに義理チョコをもらってたりもらってなかったりらしい。
聞いたとき、それにはちょっと驚いた。


「恋は盲目、」

「みやこが言うとなんかイラッとするね。」

「あやめの目が笑ってない!」


そんな感じに2人で歩いてると。
ちょっと向こうに白鳥先輩とお兄ちゃんがいた。
それを見て足が止まった私、と私につられて止まったみやこ。
すぐにハッとして、急に止まったことを謝ろうとみやこを見たとき。


「ねぇ、あやめ、」

「……そのニヤニヤやめなよ、それと聞きたくないんだけど。」

「あのね、私いーこと思いついたっ!」

「いや、聞きたくないんだけど!」


ニヤニヤ全開のみやこに嫌な予感しかしない。
話を聞いてくれないなら逃げようかと思えば、思いっきり腕を掴まれる。


「あのね、あやめは兄さんに抱きつくの!」

「何の罰ゲーム?!」

「大丈夫、大丈夫!
カモフラージュに私が犬飼先輩の方に抱きつくから!」


ウインクしながらグッと親指を立てるみやこ。
すぐにでも断りたい話だったのに、雰囲気が白鳥先輩と似てたから思わず言い淀んでしまった。
こうなったらみやこは早い。


「じゃあ行っくよー!」

「っ、ああもう!」


なるようになれ!
真っ赤な顔を隠しながら白鳥先輩に抱きついた。





(「どーん!」)
(「うわっ!」)
(「失礼しますっ!」)
(「えっ、えぇっ?!」)




- 1 -
*PREVNEXT#