「月子せーんぱい!」
「こんにちは。」
「あやめちゃん、みやこちゃん!」
みやこと歩いてると、たまたま廊下でばったり月子先輩と会った。 周りを見てもいつものメンバーはいなくて、珍しく1人みたい。
「あ、そっか、2人は確か同じ学科だっけ?」
「はい!」
「ふふっ、いいなぁ、同じ学科に女の子がいるって…。」
微笑ましげに私たちを見るその目は、少し寂しげで。 みやこも同じことを思ったのか、かっちり目が合った。 それから頷き合って、ぎゅっと月子先輩の手を掴む。
「え、あやめちゃん?みやこちゃん?」
「学科も学年も違いますが、」
「私たち、月子先輩が大好きですよ!」
「2人、とも…。」
一瞬目を見開いたあと、少し涙を浮かべる月子先輩。 な、泣かせた?!と2人でオロオロしていると。
「あれ、こんなとこで何してるの?」
「か、金久保先輩…!」
「違いますよ、部長! 私たち、月子先輩を励まそうとして…!」
いきなりの金久保先輩の登場に狼狽える私たち。 きょとんとした顔の金久保先輩は、月子先輩を見てアイコンタクトで会話する。 それからクスリと上品に笑った。
「月子さんが迷惑かけたね?」
「え、いや、」
「迷惑なんて…!」
むしろ私たちのせいで泣きかけてるわけで。 そう思ったけど、それを言わさないように次の言葉を紡ぐ。
「ふふ、ありがとう2人とも。」
「え、」
「あの、それってどういう…?」
「じゃあそろそろ僕たちは行くね?」
そう言って月子先輩を連れて行く金久保先輩。 その動作はまるで流れるようで、キレイだった。 でも、なぜか嵐が去ったような気分になった。
(「あ、そういえばお兄ちゃんが月子先輩と金久保先輩は付き合ってるって言ってたような…。」) (「えぇ?!」)
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