俺とあやめちゃんが付き合い出してしばらくしてから、みやこが犬飼と付き合いだした。 犬飼はいいヤツだと思うけど、やっぱどこか心配なわけで。
「弥彦先輩?」
「あ、あやめちゃん。」
「どうかしました?」
小首を傾げながら言うあやめちゃんはもう殺人級にかわいい。 っていかんいかん! 慌てて首を振り、煩悩を追い出す。
「はぁ、」
「みやこ、ですか?」
「え?!」
「図星みたいですね。」
クスリと笑うあやめちゃん。 ため息だけで見抜かれるとは思わなくて、罰が悪くなって頬を掻きながら視線をそらす。 あやめちゃんには、隠し事できないかも。
「あら、隠し事する気だったんですか?」
「違っ…! って、え?!な、なんでわかっ!」
「自分で言ってましたからね、それと落ち着いてください。」
「う、うん…。」
そうか、自分で言ってたのか……ちょっと、恥ずかしいな…。
「それで、さっきの話なんですけど、」
「え? あ、うん!」
「妹の私が言うのもなんですが、みやこはお兄ちゃんになら任せても大丈夫ですよ。」
「あやめ、ちゃん…。」
「あんまり口にはしないですけど、アレでお兄ちゃん、みやこのこと結構可愛がってますから。」
悪戯っ子みたいに笑うあやめちゃん。 その顔にどきどきしたのは秘密。
(「犬飼になりたい、」) (「私は弥彦先輩がお兄ちゃんじゃなくて嬉しいですけどね。」) (「えっ!」) (「お兄ちゃんとは、お兄ちゃん以上にはなれないですからね。」) (「あやめちゃん…!」)
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