「こんにちは。」
「あやめちゃん!」
「あ、弥彦先輩。」
「あやめ!」
「あー、みやこ。」
「どしたんだ?」
「お兄ちゃんも、来た私が言うのもアレだけど、ちゃんと集中しなきゃダメじゃない?」
弓道部(というか金久保先輩)に用事があったから来てみれば。 私の声を聞き付けた3人が、ぞろぞろと奥からやってきた。
「今は休憩中!」
「あぁ、なるほど。 あ、金久保先輩いる?」
「僕ならここだよ。 あ、生徒会からかな?」
「はい、部活中にすみません。」
「ふふ、気にしなくていいよ。」
柔らかい笑顔を浮かべながら来てくれた金久保先輩に、一樹会長からの伝言や持ってきた書類を渡す。 金久保先輩の用事が終わったとき、さぁ帰ろうかなーと思ってると。
「弥彦先輩?」
「……その、帰る?」
「えぇ、まぁ…。」
クイッと服を引っ張られて振り向けば、寂しそうな弥彦先輩。 何を言いたいのかわからずに首を傾げながら頷いた。
「えーっ、あやめ帰っちゃうのー?」
「そりゃあ、邪魔になるから、」
「邪魔じゃないって! あ、カバンあるってことはこれで今日の生徒会終わり?」
「あ、うん。 一樹会長が“たまには早く帰って休め”って言ってくれたからね。」
そう。 今日は半分とはいえ久しぶりの休み。 お言葉に甘えて、部屋でゆっくり休もうと思ってる。
「見学していきなよ!」
「でっ、でも迷惑ですよね?」
「僕は犬飼さんがいてくれると6人は気合い入るから嬉しいな。」
「ろ、6人?」
にっこり笑った金久保先輩に、首を傾げる。 するとそれをみた金久保先輩が笑いながら教えてくれた。
「まず、白鳥くんに白鳥さん、犬飼くんに木ノ瀬くんでしょ、それに僕と月子さん。」
「うん! 私もあやめちゃんがいるなら気合い入る!」
「そうですねぇ、確かにあやめが見てくれるなら僕もがんばりますよ?」
「む、木ノ瀬、お前というヤツは…!」
「あ、先輩もあやめにいてほしいんじゃないですか?」
「なっ! ま、まぁ……その、邪魔だとは思わない、ぞ。」
真っ赤な顔で、でも否定はしない宮地先輩。 なんだかこっちまで赤くなりそうだ。
「ふふっ、じゃあ7人だね?」
「ぼ、僕もがんばりますよ!」
「小熊ぁ、お前には絶対あやめはやらん!」
「そうだそうだ、あやめちゃんは俺のだぞ!」
「ひ、ひいいいいい!」
あんまり話したことのない小熊くんにまで言われてしまった。 ここまで言ってもらったら、私に断るなんて選択肢はないわけで。
(「ほら、犬飼さんどうする?」) (「……じゃあお邪魔、します。」) (「ふふ、どうぞ。」)
- 1 - *PREV|NEXT#
|