自分の気持ちがわからなくて、先輩のこともわからなくなって。 でも、犬飼先輩とこのまま中途半端な関係なのはイヤ。 私は一体、何を望んでるんだろうか。
「助けてください月子先輩いいい…!」
「なるほどねぇ…。」
私はあやめみたいに、本人の妹に相談する勇気なんてなくて。 そこで白羽の矢が立ったのは月子先輩。 私の話を聞いて、少し考え込む素振りをする。
「あ、みやこちゃん。 私が犬飼くんと話してるとき、どんな気持ち?」
「月子先輩と、ですか……うーん、何の話をしてるのかなーとは思いますけど…。」
「あー……じゃあ、顔を真っ赤にした他校の女の子と犬飼くんだったらどうかな?」
「真っ赤、ですか……犬飼先輩が服を裏表逆さで着てたとか…?」
「みやこちゃんは犬飼くんのことを何だと思ってるの。」
「だって、他は考えられないじゃないですか。」
言い切った私に、目をぱちくりさせる月子先輩。 あれ、なんか変なこと言いましたか?
「みやこちゃん。」
「はい?」
「どうしてみやこちゃんは言い切れたの?」
「え?」
「だから、ほんとは“考えられない”じゃなくて“考えたくない”んじゃないの?」
月子先輩の言葉に、思わず息が詰まった。 そんな私を見て苦笑したあと、再び口を開く。
「確かに学園では女子生徒は自分含めて3人だけだけど、外はそうじゃないんだよ?」
「わかって、ます。」
「うん、……これ以上言っても仕方ないからもう言わないけど、絶対に後悔しちゃダメだよ?」
そう言って頭を撫でてくれる月子先輩。 嫌なわけじゃないけど、犬飼先輩の手を思い出して無性に悲しくなった。
(「月子先輩、」) (「ん?」) (「私、犬飼先輩が、」)
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