「あ、莉羽ちゃん。」
「つっこ先輩!」
「こんにちは。」
にっこりと優しい笑顔を浮かべるつっこ先輩。 美人でかわいくて人気者で……会長の、お気に入り。
「今から生徒会室に行くんですか?」
「うん。 莉羽ちゃんも?」
「はい!」
ほんとは嫉妬の対象なんだけど、つっこ先輩はほんとにいい人。 私なんかが嫉妬するなんておこがましいくらい。 だからかな、代わってほしくなるときもあるけど嫌いになれないの。
「あ、会長!」
「ぅおっ! またお前か!……って月子も一緒にいたのか。」
「はい。 私も莉羽ちゃんも生徒会室に行く途中でしたからね。」
「あ、会長も生徒会室ですよね?」
「まぁな。」
どんっと抱きついて言えば、なんだかんだぐしゃぐしゃと頭を撫でながら答えてくれる会長。 なんだか妹(会長なら娘って思われてる可能性もあるけど)みたいな扱いを受けるのはちょっとイヤだけど、こうして撫でられるのは好き。
「みんなで手を繋いで行きましょうよ!」
「ふふ、いいよ?」
「……ったく、しゃあねぇな。」
突然のお願いなのに、そう言って手を差し出してくれる2人。 私はその手を握って2人の間を陣取る。
「なんだか家族みてぇだな。」
「あ、それ私も思いました。」
「じゃあ私が会長の奥さんですか?」
「ばか、普通に考えてお前は娘だろ。」
会長の言葉にちくり、と胸が痛んだけど。 必死に隠して笑う。
告白も受け流されても、恋愛対象にもいれてもらえなくても。 ただ会長の傍にいれるだけで、充分なの。
そう、言い聞かせて。
(「にしても、お前の手、ちっさすぎねぇか?」) (「会長の手がおっきいんですー」) (「ふふ、会長と莉羽ちゃんってほんと仲いいですよね。」)
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