[]




「おい、莉羽。」

「! はいっ!」


生徒会が終わり、そろそろ帰ろうかと立ち上がったとき。
普段ならあまり話しかけない会長に話しかけられた。
あ、別に嫌われてるとかじゃなくて(たぶん)、普段は私から話しかけてるってことだから!


「送ってやる。」

「えっ、い、いいんですか?!」

「あぁ、だから早く行くぞ。」

「ちょっ、待ってくださいよっ!」


慌ててかばんを持ち、先に歩き出した会長を追いかける。
会長に並んだ辺りで会長はスッと私からかばんを取り上げた。


「えっ、自分で持てますよ!」

「いいから、いいから。
こういうときに男にカッコつけさせるのがいい女の条件だぞ?」

「うっ……じゃあお願いします…。」


ニヤリと笑いながら言われたら、頷くしかできない。
それになんだか顔が熱くて、会長の顔が見れなくなった。
だから制服の袖を手でいじってると、大きな手が私の右手を包む。


「お前、顔真っ赤じゃねぇか。」

「か、会長のせいじゃないですか!」


ぐいっと引っ張ってくれる会長は、ほんとに楽しそうに笑っていて。
悔しくてぎゅっと手を握り返せば、「上等だ。」ってさっきより強く握りしめられた。

痛くない力加減の手は、会長のぬくもりも伝わってきてくすぐったい。
でも、全然離す気にはなれなくて。

私の恋はきっと報われない。
だから今くらい、夢を見ても、会長を独り占めしてもいいよね?





(「お前、今日の夜って暇か?」)
(「そう、ですね……特に用事はありません。」)
(「よし、なら俺と星でも見ようぜ。」)
(「はいっ!……って、えぇ?!」)
(「なんだ、イヤか?」)
(「イヤじゃないです、けど!」)
(「なら別にいいじゃねぇか。」)




- 1 -
*PREVNEXT#