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落ち着いて考えてみれば俺が苛立つ理由なんてない。
四季と仲よくしてたところで、悪いとこなんてどこもないんだ。
莉羽の行動範囲が広がるし、四季にもプラスになることだからな。

じゃあ、なんで。


「これじゃあ嫉妬してるみたいじゃないか。」


………え?
今、俺なんて言った?
嫉妬?誰が?誰に?


「ただいま戻りました……ってどうしたんですか会長?」


不意に職員室に用事に行ってた颯斗が帰ってきて俺に不思議そうな目を向ける。
俺は慌てて「なんでもない」とだけ言い、再び仕事を始めた。
のに、うまく頭が働かない。

幸い、莉羽も月子も翼も用事で出払っていて、さっきの独り言は誰にも聞かれていない。
なのに、何故か顔の熱が引かなくて。


「顔が赤いですよ?
もしかして風邪か何かですか?」

「え、あ、いや……大丈夫だ。」

「……ほんとですか?」


俺を見定めるように見る颯斗の視線に、居心地が悪くなる。
なんだかすべてを見透かされてそうな、そんな気がした。


「……まぁ、いいです。
ですが、ムリはしないでくださいね?」

「あぁ、わかってる。」


なんとかうまく切り抜けたと、こっそりと息を吐く。
またさっきのこと考えたら同じことになりそうだと、俺は仕事だけに専念した。





(「ぬははっ、ただいまーだぬーん!」)
(「ただいまですー。」)
(「ただいまー。」)
(「おや、みなさんお揃いで。」)
(「さっきそこで会ったんだぞ!」)
(「それはそれは。」)




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