「……あ、オヤジ。」
特に意味もなく歩いていると、そんな声が聞こえた。 振り向いてみればやっぱり四季で。
「っていうかオヤジ言うな!」
「オヤジは、オヤジ。」
「おま……はぁ、もういい。」
こいつに何言ってもムダなんだ。 そう思って、ため息をつく。
「……ねぇ、オヤジ。」
「、なんだ。」
「莉羽、危ない。」
「は?」
「かーいちょーっ!」
「ぐはっ!」
一瞬、莉羽のことでの星詠みかと思ったが、そうじゃないらしい。 四季に意識を向けてた分いきなりの衝撃にコケそうになった。
「……俺、言った。」
「あ、四季せんぱーい! こんにちはー!」
「うん。」
「……なに、お前ら知り合い?」
四季にいろいろ言いたいことはあったけど。 満面の笑顔で四季に挨拶する莉羽に、ちょっとだけイラッとした。 よく考えたらこいつらお互い名前呼びだし。 そう考えたら黒い感情が沸き上がるのがわかって気持ち悪い。
「……仲よし。」
「四季先輩とはよくお話するんですよー。」
ほぼ同時にそう言ったこいつら。 主に四季の言葉が衝撃的で。
「あぁ、そうかよ。」
よくわからない怒りに、自制できなくなった。
「え、会長?」
するりと俺の前にきて顔を覗く莉羽。 なんで四季は名前で俺は役職名なんだよ。
今まで気にならなかったのに、無性にイライラする。 そんな俺を見せたくなくて、2人に背を向けて歩きだす。 莉羽が俺を呼ぶ声がしたけど、振り向けるはずがなかった。
(「お、怒らせちゃったんですかね…!」) (「……大丈夫、莉羽は悪くない。」)
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