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最近、一樹さんが上の空だ。
話しかけても生返事だし……仕事とか、大丈夫なのかな。


「で、私のとこに相談にきたわけね。」

「うん、愛してるよ、月子。」

「私もだよ。」


そうキレイに笑って言う月子。
ううむ、なんか強くなってきたな、この子。

じゃなくて、このままいくと確実に脱線しそうだと判断し、こほんと咳ばらい。
すると月子は苦笑してから口を開く。


「一樹先輩になんかしたんじゃないの?」

「……やっぱり、プリンかなぁ…。」

「プリン?」


私の言葉に首を傾げた月子に、事の次第を説明する。
月子のみるみる呆れていく顔に涙が出そうだ。


「いや、きっとそれじゃないと思うんだけど、」

「でも他は思い付かないし、あのときすごい怒ってたし……。」

「それきっとその場のノリなんじゃ、」

「ああああなんで一樹さんのプリン食べちゃったんだろう…!」


後の祭りとはこのことだと落ち込む私に、片手で頭を押さえてため息をつく月子。
そのときにきらりと光る指輪が見えて。


「いいなぁ、」

「え?」


ジッと見つめながら呟けば、何を言ったかわかってない月子が私と私の視線の先……月子の左手の薬指を交互に見る。
それから私の考えてることがわかったのか、いつもとは違うニヤニヤした笑顔を浮かべた。


「慈雨ちゃん、結婚したいんだ?」

「え? あー、まぁ、そろそろ……したいかなぁ、とは思、う。
月子の結婚式見てから、特に。」

「ふふ、慈雨ちゃんすっごいキラキラした目してたもんね。」


確かに、いつもよりキレイな月子に、いつか自分もこうなるのかな、なんてわくわくしてたけど……顔(ていうか目)にでてたとは。
まぁ、月子は白無垢だと思ってたからドレスだったのが意外でテンション上がった、ってのもあったけど。

それから月子の新婚生活に話は移り、日が暮れるまでずっと話していた。





(「ねぇ、月子。」)
(「なぁに?」)
(「月子は今、幸せ?」)
(「うん、すっごく幸せだよ。」)
(「そっ、か。」)




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