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すん
 
 
少し鼻をすすってみると、泣いたせいで熱くなっていた鼻に冷たい空気が流れ込んできた。
 
 
 
「おー、おー。お前はまた、わかりやすく泣いてんなー。」
 
「……一樹」
 
 
 
目の前の幼馴染を軽く睨めば、彼は苦笑いをして私の座っているベンチに座ってきた。
 
 
 
「…またフラれたのか?」
 
「……ふんっ。もう、あんなやつなんて好きじゃないわよ。」
 
「じゃあその涙は何だよ。」
 
「悔しかっただけ…よ!」
 
「……そうか、」
 
 
 
これで通算6回目の失恋。性格がこんなんなのがいけないのか。この学園の生徒にフラれる大半の理由は「ごめん。俺、夜久さんのほうがいいんだよね。」だった。
 
 
 
「月子は好きよ。可愛いし、優しいし、頑張り屋だし…。可愛い後輩よ。憎めないわ。」 
「…お前はフラれやすいけど、俺はお前のそういうところが好きだよ。」
 
「ばかね。このタイミングでお世辞なんか言われても喜べないわよ?」
 
 
 
幼馴染みの一樹は私が失恋をする度に側に居てくれる。
私がどんな理由で誰を好きになっても、失恋をしたら話を聞いてくれる彼は一体、何のために私の側に居てくれているのだろうか。
 
私が毎回、誰かに告白をしてフラれている理由。
 
知らないでしょうにね。
 
 
 
「お世辞じゃねえよ。」
 
「は?」
 
 
 
目を見開いた先にはいつになく真剣な顔つきの幼馴染みがいて。
 
ああ。
 
そんな顔を時々見せるからいけない。
 
 
 
「俺は、お前が好きだ。」
 
「……嘘ね。貴方も月子が好きなんでしょう?」
 
 
 
フラれてもフラれても泣くだけで毎回すむ。
それどころか、直ぐに次の人を見つけて告白していける。
 
 
それができる理由は、私の本当に好きな人は今まで告白してフラれてきた人達じゃないってこと。
 
本命に。
振り向いてほしいから次を探すってこと。
 
 
 
「月子は俺の恩人だ。…俺が今も昔も…未来も好きなのはお前。ずっと、お前だけだ。」
 
「……嘘よ、」
 
「嘘じゃない。」
 
 
 
いいの?
 
本当に?
 
終わってもいいの?
 
 
この連鎖を
断ち切ってもいいの?
 
 
 
 
「気づいてたよ。もう充分わかったから。…終わりに、しないか?」
 
「……遅いのよ。一樹は、いっつも。」
 
「…ああ、本当にな。」
 
 
 
 
 
気づいてほしかったの。
 
 
貴方に。
 
 
 
 
アンドロメダは待っていた
 
(…好きよ)
(ふ、俺もだ)
 


*さっちんから相互記念にいただきました!

ありがとうございます!

 
 
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