また、だ。
最近、いや結構前から梓くんと月子が仲よく喋ってると、スギズキと胸が痛い。 そんな2人を見たくなくて逃げたしたくなるけど、そんなことできるはずもなくて。
「名前先輩?」
「……あ、何?」
「顔色悪いですけど、大丈夫ですか?」
心配そうな顔をする梓くんに、きゅっと心臓が縮こまった気がした。 それを誤魔化すように曖昧に笑って大丈夫って言ったら、グッと眉間にシワが寄った。
「梓くん?」
「すみません、夜久先輩。 名前先輩が体調悪いみたいなので保健室に連れて行きます。」
「あ、うん!」
いってらっしゃい、なんて笑顔で言う月子。 私が何か言う前に手を引いた梓くんのせいで、月子の笑顔の意味はわからなかった。
「梓くん、ねぇ、」
「…………。」
何度か梓くんに声をかけても梓くんは振り向くことも、返事をすることもなくて。 何だか寂しくなったから黙ってついて行く。 しばらくしたらようやく目的の場所に着いたのか、ピタリと足を止めた梓くん。 でもそこは保健室ではなくて中庭で。
「梓くん?」
「……そろそろ、話してくれてもいいと思うんですけど?」
「え……?」
いきなり、そう言って振り向く梓くん。 その顔は不満気というか、拗ねてるというか。
「せっかく僕が会いに行ってもなかなか話さないし、それどころかちゃんと笑顔すら見せてくれないし。」
「あ、梓くん…?」
「何ですか。」
不機嫌そうな梓くんに困惑する。 どうしよう、梓くんのことがわからないんだけど……。 それに今の言い方じゃあ、まるで、
「私のこと、好きみたいだよ、」
「好きですよ。 知りませんでしたか?」
「えぇ?!」
思わぬカミングアウトに大きな声を出してしまった。 知らなかったですよ、初耳ですよ。 そういう風な目で見つめれば、ため息をつかれた。
「僕、結構わかりやすくアプローチしたつもりなんですけどね。」
「いやいや、私ずっと月子のことが好きなんだと思って、」
そう言ってから言葉に詰まった。 それを目敏い梓くんが聞き漏らすはずもなく。
「思って、どうしたんですか?」
「や、えっと…、」
とてもいい笑顔でそんなことを聞いてきた。 初めは私も抵抗したけど、梓くんに勝てるはずもなく。
「好きです、名前先輩。 名前先輩は僕のこと好きですか?」
そう言う笑顔の圧力に負けて、結局自分の気持ちを洗いざらい吐くことになった。
勝てない人 (「ていうか保健室、」) (「あれは先輩と2人になるための口実ですよ。」)
*相互記念にさっちんに捧げます。
切甘ってなんなんでしょうね…(遠い目 書き直し、言ってくれたらするからね!
さっちんのみお持ち帰りくたさい。
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