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『かーいちょ?』


生徒会室の扉をノックもせずに開いたらそこはもぬけのからでした。


『颯斗くんまでいないなんて…珍しい』


月子ちゃんは部活でしょ?

翼君は…発明かな?
ラボに居る?

ラボを覗きに行ったら翼君はいなかった。


『翼君も、いない?』


今日は生徒会休みなんて聞いてないからなぁ…

とりあえず、会長待とうかな。
そう思ってソファに向かった。

あれ?

ソファまで行ったら誰かのブレザーがぐちゃぐちゃのまま乗っていた。


『これって…』


翼君はカーディガンだし…

となると颯斗君か会長の?
うーん…とりあえず、たたむかな。

『あっ…』


手に取ったブレザーから会長の匂いがした。

なんだか変態みたい…

いやいや!変態は桜士郎先輩で十分!
私は違う!
でも…


『落ち着く…』


ブレザーを抱えたままソファに座る。
机の上に目を移したら会長の眼鏡があった。

会長の見てる世界…

会長はいつも眼鏡をしてるわけじゃないけどもしかしたら会長の世界が分かるかもしれない。
私は会長の眼鏡をかけてみる。


『うわっ…あんま度が入ってないと思ったけど案外ある…』


なんだかくらくらする。
てゆーか、眠い?

そのまま私はゆっくりと意識を手放した。

――――――――――


『んっ…』


いつの間に寝たんだろう…
なんか、あったかい…


「起きたかー?」

『会長…どこ行ってたんですか?』


いつの間に横になったか知らないけど起き上がったらなにかが落ちた。
ブレザー…


『会長がかけてくれたんですか?』

「んー、まぁな。けどそれは颯斗のだ」

『嘘っ!?』

「嘘だ」


なっ!
人の事待たせておいて!


「まぁ、名前は俺なんかより俺のブレザーの方が好きみたいだからな」


はい?
確かに抱いていた覚えはあるけど…

「………あと、眼鏡だな」

『もう!ブレザーとか眼鏡とかなに拗ねてんですか!前髪引っ張りますよ!』

「なっ!?拗ねてねーよ!つか、前髪は関係ないだろ!」

『じゃあ、なんなんですか!』


そう聞いたら会長は口をつぐんでしまった。


「………いや、だから、だな…」


私は会長の答えを待つ。
会長はゆっくりとうつ向いて、額に手を当てながら話始めた。


「お前、が…」

『私が?』

「お前がそれ抱いて寝ながら‘一樹君’つったのが嫌だったんだよ!』


一樹、君?
えっ…
ガタッ


「名前?」


いきなり立ち上がった私にビックリしたのかうつ向いて会長が私の方を見ている。
私は思考停止で顔に熱が集まってきた。
訂正。もう真っ赤だ…


『ち、違うの!!いや、違くないんだけど!とりあえず、違うの!!』

「お、おい…名前、とりあえず落ち着け」


はぁぁぁぁぁぁぁ…
なにやってんだ、私!!

最早、会長がなに言ってるか分からない。
パニックになってたらふわりと体が包まれた。


「落ち着けって」

『!?』


か、かかかかかかか会長の腕の中!?


『あ、あの…!?』
「悪かった。お前がそこまで動揺するなんて思わなかったんだ」


えっ…


『うそ、なんですか?』

「いや、嘘じゃない」


やっぱり言ったんだ…!!


「彼氏なのに名前呼ばないからな、お前」

『だって…』

恥ずかしい…

「落ち着いたみたいだな」

『………ん』

「だが、まだ離してやらん!」

『え!?』


心臓壊れるよ!?
死んだら会長のせいだ!


「名前」


耳元で囁かれたらなんだか恥ずかしくて、くすぐったい。


「名前、呼べよ」

『んっ…』


会長の息が耳元にかかる。


「呼ばないとこのままだぞ?今日は生徒会はなしだ。颯斗も翼も月子も来ない。どうする、名前」

ずるい…


『か、一樹、くん』

あー!もう!熱い!

「よく出来たな」


そう言って一樹君は私の額にキスをした。




(は、離してくれるんじゃなかったの!)
(お前が可愛いすぎるのが悪い)
(………ずるい)



だけど、やっぱり貴方が大好きです



*由奈より相互記念にいただきました!


ありがとうございます!




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