料理が苦手でも、チョコくらいは作れると思ったんだけど……そううまくはいかないみたい。
「……なんで、」
「ん? どうした?」
芸術品のようなチョコを目の前に、どうして神さまは私ではなく錫也に料理の才能を与えたの?って言いたくなる。 いやでも錫也は努力してるのは知ってるよ、知ってるけど私はがんばっても錫也みたいになれなくて。
「っ、悔しい。」
「悔しい? ……って、名前?!」
呟いた途端、涙が滲んだから見られないように俯く。 だけど逆にこぼれて、錫也が慌てたような声を出した。
「私もっ、キレイなチョコ作りたいのに、」
「名前……。」
「……ごめん、錫也に言っても仕方ないのに。」
思わず錫也に八つ当たりしちゃって、自己嫌悪しつつも錫也に謝る。 でも錫也は優しく頭を撫でてくれた。
「すず、や…?」
「名前は料理ができなくていいの。」
「え?」
驚いて顔をあげれば、優しい笑顔で。 目を見開いたまま固まってたら急にぎゅっと抱きしめられていた。
「俺が、名前のご飯も全部お世話するから、名前は俺のそばにいて。」
「錫也?」
「……好きなんだ、名前が、女の子として…誰よりも。」
より一層強く抱きしめられたら、もう頭の中は錫也しかいなくて。 チョコが作れなくても、錫也がいればいいかななんて。
料理の才能 (「でも、やっぱり料理はうまくなりたいから、教えてくれる?」) (「んー……まぁ俺もお嫁さんのご飯食べたいし、いいよ。」) (「およっ…!」)
*瀬見さまに捧げます。
途中から錫也が暴走してしまい、がんばって軌道修正したのですが……こんなのでよかったでしょうか…? もし気に食わないようなら返品、書き直し受け付けてますので!
瀬見さまのみお持ち帰りください。
バレンタイン企画へのご参加、ありがとうございます!
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