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あのあと、梓くんと翼くんに月子先輩共々送ってもらった。
最近、急に梓くんが隣にいない時間が増えたからか寂しいなーって思ってたから、生徒会にいた時間はとても楽しかったんだけど。


「……月子先輩、か。」


綺麗な人だった。
梓くんが憧れるのも、わかる。
私とは正反対の、学園のマドンナ。


“先輩の弓に憧れて弓道部に入ったんですよ?”


ぐるぐる回る梓くんの言葉が、気持ち悪い。
やっぱり、私よりも月子先輩のがいいのかな。
……そりゃそうだよね。

なんだか暗くなってきた思考を止めるべく、私は早めに寝ようと思ったんだけど。


「……あ、電話。」


タイミングよくなった電話に、相手が誰かも確かめずに出る。
響いたのはよく知ったアルトの声。


『もしもし?』

「え、梓くん…?」

『誰だと思ったの。』


呆れたような声の梓くんに、何故かずきずきと胸が痛い。
口を開けば八つ当たりか情けない言葉を言いそうだから、笑っておく。


『まぁ、いいや。』

「あ、そういえばなんか私に用事あったんじゃないの?」


落ち着くまで笑ったあとに、気になったことを聞けば、あーとかうーとか唸りだす梓くん。
わぁ、珍しい。


『別に、用事とか……ないんだけど、ね。』

「え? そなの?」

『そうだよ、ちょっと声聞きたいなって思っただけ。』


最近あんま構ってやれなくて、瑞紀寂しそうだったから。
そう早口で言う梓くんにさっきまで風邪で痛めた喉みたいだった心が、ぽかぽかあったかくなってきた。


『悪い?』

「ううん、嬉しい。」

『……そう。』


ヤケクソ、みたいな言い方の梓くんにクスクス笑いながら答えれば、照れてるのか少し素っ気ない返事。
照れてるの?って聞けば違う!って言われた。
ムキになってるからきっと当たりだな。





(「今日はありがとう、おやすみ。」)
(『……おやすみ、ちゃんと布団かぶりなよ。』)




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