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「こんにちはー。」

「失礼します。」


翼くんとラボにいてるとそんな声が聞こえた。
綺麗なソプラノと聞き慣れた声に私は翼くんと顔を合わせてから、勢いよくラボを出た。


「梓くん、おかえり!」

「梓、書記っ!」


なんで梓くんがいるのかとか、聞きたいことがいっぱいあったけど。
なんかどうでもよくなって気付けばおかえりって言いながらいつもの翼くんみたいにタックルする勢いで梓くんに抱きついていて、よろけもせずに抱きとめてくれた。
それから少し呆れたように笑いながらただいま、いい子にしてた?って言ってくれたからぶんぶん首を縦に振る。
ちなみに翼くんは書記って呼んでた女の人に頭を撫でてもらってた。
ん?女の人?


「あ、もしかしてあなたが宇宙科の、」

「えと、支倉瑞紀です!
夜久先輩、ですか…?」

「そう、夜久月子!
普通に下の名前で呼んでいいよ!
よろしくね……瑞紀ちゃんでいいかな?」

「あ、はい!」


スッと出された手を握り返す。
どうやら噂で聞いた学園のマドンナさんは、友好的な性格みたい。


「ていうか、梓くん。」

「なに?」

「なんで月子先輩と一緒にいたの?」


そう、2人は一緒に生徒会室に入ってきた。
梓くんは生徒会役員じゃないから、あまりにも不自然。


「夜久先輩は、弓道部なんだよ。」

「えっ?!」

「そんなにうまくないんだけどね。」


びっくりして月子先輩を見れば、苦笑された。
でもそれを真っ先に否定したのは梓くんで。


「何を言うんですか、僕は先輩の弓に憧れて弓道部に入ったんですよ?」

「そうだな、俺もたまにお前の弓見るけどなかなかいいと思うぞ?」

「梓くん、会長まで、」


それから少しみんなで話してたけど、私の耳には入ってこなかった。
梓くんが弓道部に入る理由って、月子先輩?
そう思ったら、なんだか胸が痛くて苦しくなってきた。





(「あ、お前これから暇なとき生徒会こいよ!」)
(「………え?」)
(「今日みたいにふらふらしてると危ねぇし、課題とかあるならここでやればいい。」)
(「そうですね、月子さん同様危機感がなさすぎますし。」)
(「ぬは、じゃあ俺が放課後連れてくるのだ!」)
(「じゃあ僕が部活終わったらすぐに迎えにくるから、ちゃんといい子にしててね?」)
(「え、えっと…?」)




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