「で、返事は?」
楽しそうな声色に、私はどうしたらいいのか回らない頭で考える。 いや、返事すればいいんだけど!
「瑞紀ー?」
「ぅ、あ……!」
「とりあえず落ち着きなよ、聞きたいことあるなら答えるし。」
私の頭を撫でながらそう言う梓くん。 よ、よし、とりあえず、
「月子先輩はっ!」
「夜久先輩と僕は何もないよ、夜久先輩はただの部活の先輩。」
「じゃ、じゃあ!」
「ん?」
すぅっと深呼吸をして、逸る心を静める。 ちょっとだけ離れて梓くんの顔をみて、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「梓くん、ほんとに私のこと…?」
「あぁ、好きだよ。」
「っ、え、えと!」
ふんわりと笑っていう梓くんに、またどくんと心臓が高鳴った。 嘘をついてない、澄んだキレイなアメジストに吸い込まれそうになる。
「他に質問は?」
「……ない、です。」
「じゃあそろそろ返事くれる?」
頬に手を添えられて見つめられれば、もう逃げ道はない。 心を決めるしかない。
「……わ、私も、」
「うん。」
「梓くんが……好き、だよ。」
「うん、知ってる。」
フッ、っと笑ったと思えばすぐ近くに梓くんの顔があって。 ちゅっというリップ音と一緒に離れていく。 え、っと、今のって…?
「ごちそうさま。」
「えっ、え…?」
ニヤリと笑った梓くん。 悔しいけどその顔がカッコいいって思う私は、一生梓くんに敵わないんだろうな。
等身大の幸せ (ありのままの、私たちの色。)
-fin-
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