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「ご、ごめんなさい!」


これが、瑞紀が屋上庭園に着いた第一声だった。
いや、謝る意味わかんないからね。


「は?」

「ヒッ…!
ま、まさかそんなに怒るとは思わなかったんです出来心だったんですうううううう!」

「いや、だから何の話してんの?」


土下座する勢いの瑞紀に呆れたため息しか出てこない。
何でただ瑞紀と話すだけでこんな疲れなきゃいけないんだ。


「だっ、だって梓くん、1時間目のこと怒ってるんでしょ…?」

「1時間目?
……あぁ、別に怒ってないけど?」

「え…?」


ほんとに意外だったのか目を見開く瑞紀。
まったく、まさかあんなのネチネチ気にすると思われてただなんて。


「え、っと……じゃあなんで私は呼ばれたの?」

「随分とストレートに聞くね?」

「え、ダメだった?」

「…ダメじゃないよ。」


そう言って瑞紀をぎゅっと抱きしめた。
ビクリと震える肩に、思わず口角があがる。


「あ、ずさ……くん?」

「なに?」

「ダメ、だよ……梓くんには月子先輩が、」


弱々しく肩を押す瑞紀。
なんでここで夜久先輩が出てくるんだと思ったけど、どうせ瑞紀の早とちりと思い込みなんだろ。
グッと力をいれて抱きしめれば、小さく唸ってはいても抵抗はしなくなった。


「うー……、梓くん、」

「なに?」

「なんでこんなことするの?」

「……わからない?」


困惑気味な瑞紀の声に、少し加虐心が芽生えて意地悪く言う。
そしたらほとんど間髪いれずに「わからない。」って言われた。


「……ほんとにわからない?」

「わからないよっ、」

「ほんと瑞紀ってバカだよね。」

「ひ、ヒドっ…!」


いや、ヒドくないよ。
普通ここまできたらわかるでしょ。
でもまぁ瑞紀は普通じゃないみたいだから仕方ないね。
だから言ってあげる。
しっかり聞きなよ?


「瑞紀が好きだよ。」

「……え?」

「聞こえなかった?」

「え、いやっ、え?!」


瑞紀の耳元に唇を寄せて囁くように伝える。
するとみるみる真っ赤に染まる瑞紀の顔がおもしろくて、カプッと耳を甘噛みしてやった。





(「なっ、ちょ…っ、」)
(「真っ赤だね?」)
(「いっ、一体誰のせいだと…!」)
(「んー……僕?」)




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