「おーい、お前ら席に着けー。」
「チッ……、」
「おいこら、木ノ瀬ー、お前わかりやすく舌打ちすんなー」
そんな感じで1時間目の授業が始まった。
普段は優等生な梓くんが先生にこんなことするのはこれが初めてだ(った気がする)から、少しだけ驚いた。
でもここでただ驚くだけの私じゃない。
「やーいやーい、梓くん怒られてやーんのー。」
ケラケラと笑いながら小声でからかえば、くるんと後ろ(つまり私)を向く梓くん。
それから素敵な笑顔とともに口パクで一言。
「(お ぼ え と け 。)」
「ヒッ…!」
「今度は支倉かー?
頼むから授業くらいしっかり聞けー。」
いやいや先生、それどころじゃないです!
ちょっとした日頃の恨みを晴らしただけなのに、タダじゃ済まされないことになりそうです、私!
(「木ノ瀬ー、お前もちゃんと前向けよー」)
(「……はぁい。」)
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