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「単刀直入に言う。
お前は瑞紀をどう思ってるんだ?」


ジッと、木ノ瀬の目を見据えて言う。
少しだけ動揺の色が伺えたものの、ぱっと見じゃあわからないほど些細な変化しか見えない。


「……それを、不知火会長に言う義理はないと思いますが?」

「あぁ、そうだな。」

「っじゃあなんで聞くんですか!」


思わず。
そんな感じで怒鳴った木ノ瀬は言ってから罰の悪そうな顔で謝る。
いつもはこんなに感情を出さない奴らしいから、正直驚いたけどこっちからすれば好都合だ。
今ので大体のこいつの気持ちはわかったからな。


「なぁ、木ノ瀬。」

「なんですか。」

「黙ってるだけじゃ、ダメだと思うぞ。」

「…………。」

「特に相手はあの瑞紀だからな、伝えるための口があるならちゃんと言わなきゃ進まないぞ。」


木ノ瀬は答えない。
それでもいいと思った。
あとはこいつ自身で決めることだ、俺の出る幕じゃない。

でも、こいつらがうまくいけばいいと思う。
願わくば必要以上に泣いてる瑞紀が、少しでも幸せを掴めるように。





(「ま、それだけだ。 俺は戻るからな。」)
(「………会長、」)
(「お前も授業には遅れんなよ。 」)




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