「もう元気になったよ、か。」
瑞紀からのメールを読んでから、ぱたりとベッドに寝転ぶ。
それから目元に腕を置いてから1つため息。
少し腕をズラしておでこに置き、ぼーっと天井を見上げた。
あのとき……夜久先輩に告白されたとき、確かに嬉しかった。
憧れの先輩が僕に好意を寄せてくれていたんだ、当然といえば当然。
なのに僕は“これが瑞紀だったらよかったのに”って思ってしまった。
そんなこと思うなんて、最低だと思ったけど。
それでも、それが僕の本音だったんだ。
どうしてそこで瑞紀なんだ、なんて愚問はもう言わない。
僕はそこまでバカじゃないから、自分の気持ちくらいわかってた。
でも、どうしても認めたくなかったんだ。
僕の中のなにかが、確実に崩れる気がして怖い。
「……どうしたら、いいんでしょうか。」
かつての恩師に問いかける。
もちろん返事なんてないし、自分で見付けなきゃいけないんだけど。
(「(ダメだ、このままじゃ弓も引けない。)」)
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