とりあえず、瑞紀ちゃんに顔をあげてもらったあと、体温をはかる。
「37.2℃……まだ微熱だね。」
「だ、大丈夫ですよ、これくらい…!」
「ダーメ、ちゃんと寝ててね?」
にっこり笑って寝かしつけたあと、梓くんに電話する。
起きちゃうといけないから部屋から出て。
「あ、梓くん?」
『こんばんは、何かありました?』
2コールで出た梓くん。
その優しい声で紡がれたセリフも全部瑞紀ちゃんのためだと思えばやる瀬なくて。
そんなことを考える自分が、嫌で仕方ない。
「あ、うん、瑞紀ちゃんが目を覚ましてね、熱測ったら37.2℃だったからその報告。」
『そうですか……電話、わざわざありがとうございます。』
「気にしないで。
……早く、よくなるといいね。」
『そう、ですね。』
少し悲しげな声に、胸が痛い。
2人の間に私の存在は入れない、って言われてるみたいで。
それから二言三言話して電話を切る。
あーぁ、梓くんの声聞きたくて電話にしたのに、これだったらメールの方がよかったな、なんて。
(「(……涙、止まってから戻ろ。)」)
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