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みんな帰って静まり返る部屋の中。
私は昨日のことを思い出してため息をつく。

あのあと、私は傷心の梓くんに告白した。
結果はみてわかるように惨敗。
梓くんの中での瑞紀ちゃんは、思った以上に大きかったみたいで。

正直、そんなに愛されてる瑞紀ちゃんが羨ましいと思った。
それと同時に、ズルいと思った。

私と瑞紀ちゃん、なにが違うの?
年上だから、イヤなの?


「っあ、ず、…。」


寝言で梓くんを呼ぶ瑞紀ちゃんが、ものすごく憎い。
でも学園で唯一無二の女の子の後輩で、やっぱりかわいくて。


「瑞紀ちゃんが、もっと悪い子だったらよかったのに。」


そしたら悩まなかったのに。
こんな醜い感情浮かべなくてすんだのに。


「ズルい、よ……。」


他の誰でもない、梓くんの心を独り占めしないでよ。

声にならない気持ちが、涙に変わる。
この部屋には寝てる瑞紀ちゃんしかいないし、私は気がすむまで泣き続けた。





(「……あず、き…。」)
(「……え、梓じゃなくて小豆だったの…?」)




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