騒々しくて起きたら、生徒会のメンバーがいて。 翼の慌てっぷりに寝起きのせいもあってちょっとイライラしたけど、とりあえず起き上がろうとしたら瑞紀が僕に抱きついていたのが見えて。
「あぁ、ここ瑞紀の部屋か。」
「もしかして気付いてなかったのか?!」
「翼うるさい、気付いてなかったんじゃなくて忘れてたの。 あと、瑞紀が起きるから静かにして。」
とりあえず翼に注意してからまた布団に戻る。 瑞紀の頭をさらりと撫でたあと、おでこに手を当てたらまだ少し熱い。
「ぬ……瑞紀、体調悪いのか?」
「まぁね。 今は落ち着いてるけど、まだ熱は下がりきってないみたい。」
「ぬぬ、だから休んでたのか……。」
「そゆこと。」
僕の態度で瑞紀の体調不良に気付いたのか、心配そうな顔をする翼を視界にいれる。 とりあえず1番騒いでた奴は落ち着いたし、あとはうつる前にみんなに帰ってもらえばいっか。
「ところで、なんで梓は瑞紀と一緒にここで寝てたのだ?」
「え?」
「あ、それ私も聞きたいな。」
「なんで、って瑞紀が僕に抱きついて寝ちゃったから、ですよ?」
翼の何気ない質問に、まさか夜久先輩が反応を示すとは思わなかった。 瑞紀を抱きしめてるから微妙に表情は見えないけど、何故か答えるのに少しの罪悪感。
「そうだったのか……でも、病気のときは人肌が恋しいらしいからな! 俺も梓の手伝いで看病するのだ!」
「そんなのいいからうつる前に早く帰りな。 先輩方も、僕1人でやりますので帰ってくださって大丈夫ですよ。 もしみなさんにうつしたら、瑞紀悲しむんで。」
「ですが、お1人では何かと不便ではありませんか?」
「颯斗の言うことも尤もだと思うぞ? 1人より大勢の方がそれぞれの負担も少ないだろうしな!」
「そうなのだ! 梓ばっかりズルいぞ!」
「ズルい、って……。」
3人の言葉に苦笑。 うーん、なんて言うべきだろうか。 そう考えてると、凛としたソプラノが響く。
「私が瑞紀ちゃんの看病しますよ。 女の子同士の方が、やっぱり瑞紀ちゃんも安心でしょうし。」
「……確かに、月子さんの言う通りですね。」
「ぬぬー、俺も瑞紀の看病したいぞ!」
「諦めろ、翼。 颯斗の言う通り、ここは月子に任せるべきだ。」
「……はぁ、仕方ないですね。」
翼が無言で頷いたのを見れば、もう僕にも拒否権なんてない。 ゆっくりと起こさないように瑞紀の手を剥がす。 それからまたゆっくりとベッドを降りた。 途端にさっきまであったぬくもりがなくなったのが、無性に寂しくて。
「……ゆっくり休むんだよ、バカ瑞紀。」
「ぬわっ!」
「なっ、」
「まぁ、」
「っ!」
ちゅ。 眠ってる瑞紀のおでこにキスをすれば、外野がそれぞれ反応したのを感じる。 僕はそれに気付かないフリして、最後に頭を撫でてから離れた。
「さ、僕らはそろそろ行きましょうか。」
「お、おぅ……。」
「そう、ですね、」
「う、うぬ…!」
「じゃあ夜久先輩、瑞紀をお願いします。」
「……、うん。」
呆然と立ち尽くしてるみんなに声をかけた。 各々、少しぎこちない返事をしてから僕に続く。
そのときの僕は瑞紀のことで頭がいっぱいで。 周りのことをちゃんと見れていなかった。
(「梓、」) (「なに?」) (「梓は、もしかして外国人なのか…?」) (「はぁ? 何バカなこと言ってんの、翼。」)
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