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梓くんと翼くん以外のみんなと距離を取り初めてしばらくしたくらい。
梓くんの練習試合に、翼くんに引っ張られるようにして連れてかれた。


「……わ、」


しゃんと伸びた背筋に、緊張を感じさせない横顔と自信に溢れたその姿。
あまりにも私と違う梓くんに、きゅうっと胸が痛くなった。
なんか、羨ましいのと、よくわからない、甘い痛み。
両極端の感情が混ざり合って……弾けた。


「……つ、きこせん、ぱい…。」


梓くんと仲よさげに笑い合う月子先輩。
たまに月子先輩の手が梓くんに触れて、梓くんも抵抗せずに楽しそうで。
さっきまで甘い痛みが緩和していてくれたのに、今はずきずき痛くて仕方ない。


「瑞紀?」

「翼、くん、」


なに?って笑いたかったのに。
翼くんの顔が、悲しげに歪んで。
あぁもう何やってるの、私。


「ごめん、ちょっと飲み物買ってくるね。」

「ぬ、それなら俺も、」

「翼くんはここにいて。
大丈夫、自販機すぐそこだし。」


その場に居たくなくて、逃げ出すように翼くんの元を離れる。
頭の中からさっきの様子を振り払いたくて走ったのに、すっきりすることはなかった。





(「そろそろ誉のやつの出番だなー……って、ん? あれは、」)




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