ふつふつと。
苛立ちが僕を包み込んでいってる気がした。
抱きしめられた瑞紀は状況を理解しきれてないのか、夜久先輩の幼なじみにされるがままだし。
翼はその先輩に食ってかかってるし。
ていうか、いい加減瑞紀を離してよ。
「哉太、そろそろ瑞紀ちゃん離してやれよ。」
「あ?」
にこにこ笑って傍観を決め込んでたもう1人の先輩の幼なじみが、僕を見ていて。
それでさえ腹立つのに、瑞紀を呼び捨てにしてたのがなんかムカつく。
それをみて、一瞬頬を引き攣らせたあと瑞紀を離した。
すんなり離したのはいいけど、なんでそこで頬を染める。
「梓くんっ…!」
銀髪の先輩に離してもらってすぐに僕のとこにきた瑞紀はなんかすごく小動物みたいで。
つい勢いで軽くぎゅってしたら、瑞紀も僕の服握りしめてくれた。
それだけで、さっきまでのイライラがおさまったんだから瑞紀はすごいと思う。
(「あの、梓くん?」)
(「なに?」)
(「ちょっと恥ずかしい、かな。」)
(「もうちょっと。」)
(「つ、翼くん…!」)
(「ズルいぞ、梓っ!」)
(「うるさい。」)
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